Episode No.710(20001205):反対するのは簡単だけど
今日、12月5日はウォルト・ディズニーの誕生日。
1901年のこの日、ディズニーはシカゴで生まれた。
ディズニーについては、もう何度も書いているけれど・・・
近代的なエンターテイメント・ビジネスの基礎を築いた奇抜な発想は・・・
ディズニー映画やディズニーランドはもとより、ルーカスやスピルバーグにも大きな影響を与えている。
映画からグッズやゲームまでを統括するルーカス帝国は、ディズニー王国そのものだし・・・
スピルバーグは『未知との遭遇〜特別編』のエンディングに『星に願いを』を使ったほどだ。
世界中から愛されているミッキーマウス・・・
その生みの親であるディズニーもまた世界中から愛されているコトは間違いない。
が、世界は広い。
ディズニーが元気だった頃の話・・・南米を中心に「ディズニー漫画の廃絶運動」が起きたコトがある。
「心ある親ならディズニーの漫画を子供に見せるべきではない」
そう叫んだのは教師だったり、PTAのお偉いさんだったり・・・。
理由は、こうだ。
ミッキーマウスには両親が出てこない・・・つまり親子の情愛が描かれていない。
さらに、ミッキーマウスは仕事をしていない・・・だから働くことの尊さが子供に教えられない。
私に言わせれば・・・
「それを教えるのが、アンタたちの仕事じゃないの?!」ってコトになるけど。
似たような話は、日本の漫画にもある。
『鉄腕アトム』がアメリカで放映されるコトになった時・・・
訪米した手塚治虫にこんなコトを言った人がいた。
「ロボットがロボットを壊すというのは、人が人を殺すのと同じコトだ。残酷で子供に見せられない」
ムッと来た手塚治虫は、すかさず・・・
「じゃあポパイは、どうですか? いつもブルートを殴り飛ばしてますけど」
すると、そのアメリカ人は・・・「子供のことを考える親は、子供にポパイなど見せない」と言ったとか。
国内でも・・・
『天才バカボン』がテレビアニメ化される時に・・・
「パパが無職なのはマズイ」という局の判断で、急きょ植木屋になったらしい。
問題になるというコトは・・・それだけ影響力が強いというコト。
人目に触れる機会が増えれば、いろんな観点から、いろんなコトを言う人が必ずいる。
だから、そうした意見をすべてクリアしていこうと思うと・・・
出来上がったモノは、何だか当たりさわりのないつまらないモノになってしまったりする。
フリーターという言葉が普通に使われるほど、今の日本には定職に就かない若者が多い。
でも、それは・・・ミッキーマウスのせいじゃないだろう。
定職に就いて頑張っても先が見えてると思わせてしまったオトナたちに問題があるんじゃないのかなぁ?!
むしろ、彼女を連れてディズニーランドに行き、大判振る舞いしようと思ったら・・・
頑張って働くしかないモンなぁ。