Episode No.1511(20030627)
自分という演出

かつて俳優の石田純一が
不倫は文化だ」なんて言って
ワイドショーを騒がせたことがあったよね。

そんな言葉を聞いて・・・
私のように「てやんでぇ」と思う人もいれば、
「そんなこと言ってみたい」と思う人もあり、
中には「ステキ」なんて思う人もいるかもしれない。

そうやって、いろんな人に、
いろんなことを思われることによって・・・
石田純一という俳優は、
かなり一般的に印象づけられた。

結果として・・・
今もナンパな中年というキャラクター
ブラウン管に度々登場している。

つまり・・・それで、食えているんだ。

石田純一が口にして言葉は
半分以上は本気で言ってると思うし、
少なくとも本気で言っていると思わせることで
俳優という人気商売において成功してる。

普通のサラリーマンが
同じことを言ったって・・・
バカにされちゃうだけ、だろうけどね。

マスコミに登場する
タレントや著名人を見て・・・
「自分の個性が商売になる」ことに
憧れを抱く人も少なくないだろう。

でも・・・
本当に、それがその人の真の個性なのか
それとも、そう見られることが
商売にとって都合が良くて
そう見せているのかは・・・わからないよね。

たいていは後者だと思うな。
そして・・・
そうは見えない巧みさのある人ほど
プロとして、成功してるんだと思う。

中には、太宰治三島由紀夫のように・・・
最終的には演出した自分に
飲み込まれてしまう人もいるから
怖いことでもあるけれど。

演出が悪いことだとか
だからダメだとは思わない。
いわば、技・・・だからね。

自分に対して素直なだけ
それが受け入れられ、
それで食っていけるのは・・・
赤ん坊だけだよ、きっと。


参考資料:技がなければ、技の使い分けもない