Episode No.923(20010810):「自分」を捨てて「自分」を作る

いろんな分野の「プロ」にお会いすると・・・
まず感じるのが「個性」・・・そして「厳しさ」。

とくにクリエティブの分野では「個性」が何よりの売り物。
これは間違いないと思う。

でも、間違いやすいのが・・・
個性」さえあれば、それでいいのかというと
そうではない・・・ということ。

結論から言えば・・・
磨き抜かれた「個性」でなければ、売り物にはならない。
もともと「個性」なんて誰でも持ってるモノだからね。

じゃあ「個性」を磨くとは、どんなコトなのか?
それこそ個性的に人それぞれのやり方はあると思うんだけど・・・
ひとつの方法として「自分」を捨てる、というコトがあるように思う。

「個性」=「自分」を出したいのに
「自分」を捨てるというのは・・・
何だか矛盾しているようにも感じるけれど
これが実は「プロ」の持つ「厳しさ」にも通じてくるんじゃないかな?

与えられたミッションのために「自分」を捨てて挑む。
・・・これが「プロ」の姿。

ヘンに「自分」を主張して仕事にならないコトをしているのは
・・・やっぱりアマチュアだ。

アマチュアとして趣味の世界で自分の生活を豊かにするのも大事。
しかし、そうだとしたら何も「プロ」ぶることはない。

「自分」をとことん捨てて・・・
その場の条件に合わせて行動をし
それでも顔を出しちゃうのが・・・本当の「自分」。

役者さんが役を演じる時と・・・同じかもね。

今から19年前の1982年の昨日、8月10日のことなんだけど・・・
ベルギーの国際会議で東北大学の研究グループが発表したモノが世界中の注目を集めた。

発表されたのは・・・形状記憶合金。

形状記憶合金自体は、
1962年にアメリカ海軍研究所で発見されたものだが
この時は温度を上げることで元のカタチに戻る合金がある・・・
という程度のことで実用化におよんでいない。

東北大学の研究グループが発表したのは
温度を上げるだけでなく、下げても元のカタチに戻る合金の発表で
その後、女性用の下着などに使われるようになった。

徹底的に別の力を加えて簡単に変形してしまうようでは・・・
「こういうカタチ」と胸を張っては言えない。

胸を張って言える「自分」というカタチ・・・つくりたいよ、ね。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊