Episode No.607(20000807):自分の道は自分でつくる 世界中で知られるキャラクター・・・というと、どうしてもディズニー系が真っ先に思い浮かぶ。 ミッキーマウスも、もう70歳を越えてるし・・・。 でも、ミッキーより30歳も年上の・・・今年、102歳を迎えたキャラクターがいる。 まるで「風船男」のような巨体で知られる、タイヤ・メーカー、ミシュランのビバンダムだ。 世界初の商品キャラクターとして、ビバンダムがデビューしたのは1898年。 パリで開かれた第1回国際自動車博覧会・・・つまり、モーターショーでのコト。 フランスでは名門自動車メーカー、ルノーが設立され・・・ イタリアでは後に自動車業界にその名を残す、あのフェラーリが誕生した年にあたる。 タイヤ・メーカーの草分けとして知られるミシュランだが・・・ もともと空気入りタイヤ自体を自転車用として発明したのは、ジョン・ダンロップ。 ちなみにダンロップは、獣医だった。 それは自転車の乗り心地を向上させる画期的な発明だったが・・・ 何せ、当時は舗装された道路もなく、タイヤの性能も悪かったので、よくパンクした。 当時、ダンロップのタイヤは、ひと度パンクすると、交換修理に何時間も要した。 そこで、それを解決しようと乗り出したのが・・・フランスのミシュラン兄弟。 ミシュランのタイヤとリムは、十数分で修理OK・・・というワケでまたたく間に普及した。 その時、ミシュランの製品を積極的に採用したイギリスの自転車メーカーが、ローパーだった。 ミシュラン兄弟の兄、エドワールは、もともと画家。 山積みになった自社製品を見て、ビバンダムの原型を作り出した。 ビバンダム・・・とは「飲み込む」という意味。 道路事情が悪い場所を走って、金属片やガラス片を踏んづけても、それを飲み込んでパンクしないという意味が込められている。 今では当たり前となっている、ラジアルタイヤやチューブレスタイヤもミシュランが開発したモノ。 ミシュランのタイヤは今や自動車だけでなく、航空機やスペースシャトルにまで使われている。 しかし、ミシュランの功績はタイヤの開発だけではない。 自転車用のタイヤから「馬なし馬車」・・・つまり自動車用タイヤへミシュランが進出したのは「四輪ならタイヤが倍売れる」という発想からだったが・・・ 自動車の普及のために、一民間企業がやるコトとしては、とても考えられないような偉業を行っている。 それは・・・ 1900年当時、まだパリにさえ3,000台しか自動車がなかった時代に、世界初の自動車用の地図を作製したコトだ。 それだけではない。地図通りにドライブができるように、国中の道路にルートNo.を書いた標識も設置。 現在、世界基準の道路標識があるのも、このミシュランの活動の流れを受けてのコトだ。 自動車を開発したのはドイツのダイムラーで、その量産に成功したのはアメリカのフォード。 しかし、自動車の走る道を造ったのはフランスのミシュラン・・・というワケ。 どんなに便利な道具や優れた作品も・・・普及するには"道"がいる。
参考資料:ビデオ「ビバンダム万歳!」ミシュランオカモトタイヤ=制作 二玄社+エムクリエイティブ=販売
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