Episode No.900(20010714):嘘と方便

生まれてから今までに・・・いったい、いくつをついただろう?

人は何故、嘘をつくのか・・・
苦し紛れで、自分が楽になりたいがためにつく嘘。
たとえその時は本気でも、本気を長続きさせられなくて結果的についてしまう嘘。
中には・・・
妖精写真の少女たちのように・・・
誰かを喜ばせるため守りたいためにつく嘘=方便もあるかも知れない。

ちなみに妖精写真というのは
幼い少女が森に遊びに行く口実として作ったトリック写真で
長い間、本物じゃないかと言われていたが・・・
少し前にトリックであることがバレて、少女たちの友情物語として映画化もされた話。

まぁ、たいていの嘘は・・・
苦し紛れか、中途半端な本気のおかげで・・・
つまり、自分を守るためについているモンで、
方便なんて高貴なものじゃなく・・・単なる嘘。

言い訳や嘘の怖いところは・・・
それが習慣になって、しまいには自分自身も騙されてしまうところ。

さらに劇作家で評論家のバーナード・ショウは、こんな怖さについても語っている。

「嘘つきの受ける罰は、人が信じてくれないというだけのことではなく
 ほかの誰も信じられなくなるということである」

嘘つきの末路は・・・孤独。
孤独を恐れる余り、また新しい嘘をつくという、その悪循環は
まるで借金を返すために、また新しいところから借金をしているようだね。

小泉内閣の掲げる「聖域なき構造改革」じゃないけど・・・
痛みから逃げまわっていたら、悪循環から脱することなど到底できない。

借金は稼がないと返せないし・・・
嘘つきは本当のことをさらけ出さないと、次のステージへ登れない。

「嘘も誠心誠意つけば、真実になる」

・・・と言ったのは、宿敵、吉田茂を倒した三木武吉だが
もともと本気が長続きできないで嘘をついた人間に
誠心誠意、嘘をつき通すなんてことができるはずもない。

できるつもりになっているのは・・・つまり、自分が騙されている証拠。

今日、考えたこと、言ったことを
明日も同じテンションで考えたり言えたりできるか・・・
まず、そこから自問自答してみないと、ね。

そういえば昔、韓国から留学してきた友達に・・・
別れ際「じゃあ、また」と言ったら
「また、っていつですか?」とスケジュール表を開いて尋ねられ
返事に詰まったことがあったっけ。


参考資料:「世界の名言名文句事典」故事ことわざ研究会=編 昭和出版社=刊 ほか