Episode No.1573(20030909):
「感性」の法則
北野武監督の『座頭市』が話題だ。
ベネチア映画祭では、
金獅子賞こそ逃したものの、みごと監督賞を受賞。
1997年に『HANABI』で金獅子賞をとった時には
かの黒澤明監督から・・・
「日本映画をよろしく頼む」という
書簡をもらっていたというエピソードも披露された。
『座頭市』で衣装を担当した
黒澤明監督の長女、黒澤和子の話によると・・・
生前、黒澤明監督は
「ぜひ、ビート君を使ってみたい」
と、言っていたらしい。
加えて・・・
「彼は主役じゃなきゃダメだな」
そして・・・
「座頭市なんか、いいかも知れない」
とまで話していたらしい。
本物は本物を知る・・・ということか?
黒澤明監督の命日である9月6日に
『座頭市』が公開されたのも偶然には思えない。
しかし・・・
すっかり映画館離れしている私は
ようやく買ってあったビデオの封を開け
『HANA-BI』を観たことろ・・・だ。
何だか水墨画みたいな映画だったな。
見せずに感じさせる、という意味でね。
セリフも極端に少ない。
黒澤明監督が、
北野作品を評価していた大きな理由は・・・
余分な「説明がない」ことだった。
とにかく
「今の映画は説明が多すぎる」と
生粋の映画人は嘆いていた。
物語ることは、たしかに
イコール説明することかもしれない。
だけど・・・
何かを感じるのは
何も説明が充分だったからという理由ではない。
むしろ、説明が充分すぎると
感じる結果は誰でも同じになってしまう。
それじゃあ・・・つまらない。
マニュアルじゃないんだからね。
だから・・・感性が大切。
そう言ってしまえば、それまでだけど
じゃあいったい感性・・・って何だ?
ちなみに感性の人、
岡本太郎は、こう言ってる。
「感性をみがくという言葉は
おかしいと思うんだ。
感性というものは、誰にでも、
瞬間にわき起こるものだ。
感性だけ鋭くして、
みがきたいと思ってもだめだね。
自分自身をいろんな条件に
ぶつけることによって、
はじめて自分全体のなかに燃えあがり、
広がるものが感性だよ」