Episode No.1214(20020716):どこまで行っても日本人

先日観た芝居に印象的なセリフがあった。

主人公は博打打ちで、
狂言まわしの鬼がこんなことを言っていた。

「ずーっと半の目が出ると、
 次くらいにゃあ丁が出るんじゃないかと、
 人間てぇ奴は、みんなそう思いたがる。
 だけどサイコロはただの石だ。
 石に思い出もヘチマもない。
 前に出した目が何だったかなんて、
 いちいち覚えちゃいねぇよ」

この話の元は13世紀の日本の絵巻物なんだって。
しかもヒロインは・・・アンドロイドだった。

私は、まだ観てないけど・・・
『千と千尋の神かくし』が海外でウケた理由も
日本的だったことにあったらしい。

大島渚が『戦場のメリークリスマス』を引っさげ
グランプリをとるつもりで
ギャングなんて書いたTシャツを着こみ、
カンヌ映画祭に乗り込んだことがあった。

確かに『戦場のメリークリスマス』は・・・
日本人の我々から観て新しい感覚の映画に思えた。

けれど・・・
その時にグランプリをとったのは
何と今村昌平の『楢山節考』だった。

つまり・・・
『戦メリ』は映画としては悪くないけど
日本人が作ったものにしては・・・
ハリウッド的過ぎたんだろう。

新しいとかカッコイイなんてモノが
西洋的なんて考えは・・・
いいかげん、捨てた方がいいな。

そこで・・・甚平を買う。

考えてみると・・・
夏服と言えばTシャツくらいしか持っていなかったが、
近くのスーパーで安売りしてたので試しに買ってみた。

これは、いい。
何と言っても体型に合ってる。

着物が洋服に替わって、もう150年くらい経つけど・・・
徳川時代のようやく半分だし、
それを超えるまで我々は絶対に生きてない。

どの道、そういう時代に生きているんだから、
過去に戻ることはできないし、
その必要もないと思うけど、
むしろ過去のいいところは、
まだまだ使える時代なのかも知れない・・・なんて思う。

西洋人なみに足がスラーッと長かったら・・・
私も甚平着ようなんて思わないから、ね。


参考資料:「HAKANA〜儚」横内謙介=作 杉田成道=演出 PARCO劇場