Episode No.780(20010224):いい子ちゃんシンドローム
「いつも元気ないい子で、
勉強のできるいい生徒で、
周りに同調できるいい女子社員で、
きれいに着飾った素敵な彼女で、
と誰かのための自分を演じることに一生懸命だった」
そんな彼女が「本当の自分」を見つけに旅立った先は・・・何とハリウッド。
24歳にしてOLを辞め、両親や彼の元を離れ・・・
言葉も通じない国で演劇を学びながら、ハリウッド女優をめざす。
と、聞いたら誰もが「そんな無茶な」と思うだろう。
しかし、彼女はそれをやった。
そして、今まさに女優として頑張っている。
彼女の名前は、中村佐恵美。
最近、話題になっている出演作は『ヒマラヤ杉に降る雪』。
工藤夕貴がハリウッドで主演作を撮ったことでも知られる作品だが・・・
中村佐恵美は、工藤夕貴の妹役を演じているらしい。
私はまだ、あいにく彼女の出演作を観たことはないし
彼女の名前もまったく知らなかったが・・・
たまたま本屋に平積みされていた彼女の著書
『ハリウッド女優になったOL奮闘記』というタイトルと・・・
表紙の美しい彼女の表情に誘われて、その本を購入してみた。
日本で彼女が読んだのは
オリバー・ストーン監督がアジア人主演の映画を撮るという小さな記事。
これからはハリウッドでもアジア人の需要が高まるかも知れない・・・
そう信じて一大決心をした彼女が、
オリバー・ストーン監督に直に逢ったのは、そのわずか4年後のことだったという。
そんな夢のような話は、映画好きの私にはたまらない感動モンだが・・・
彼女が書いた本の内容は、単なるサクセス・ストーリーだけではない。
冒頭に引用した内容でもわかるように・・・
誰もが悩む「本当の自分の居場所」の見つけ方について書かれているのが印象に深い。
時として、いろんな場面で「頑張ろう」とか「頑張ります」っていう言葉を使うけれど・・・
結局、それはみんな「自分の居場所」を確保するために頑張る・・・ということかも知れないな。
「自分の居場所」が見つかるまで、人生はイバラの道。
見つかったら見つかったで・・・維持していくのが、また難しい。
それでも・・・
オリバー・ストーンに抱きかかえられながら彼女が見せる一瞬の表情。
こんな表情をしてみたかったら・・・
やっぱり、自分の道を自分で道でつくっていくしかないよね。
自分でつくった道は誰も歩いたことのない道だから、先が見えない。
だから、面白い。
最初から、ちっともいい子でも、まわりに同調できる子でもなかった私は・・・
仕方なく自分勝手に道を探すしかなかったみたいだけど、ね。
それでも何かが変わった・・・と思える時は
決まって、新しい何かに「自分の考えで」飛び込んでみた時・・・だよな。
気後ればっかりしているうちに・・・すぐに「夢」の行き遅れになっちゃうモンな。
偶然には逢えないような人でも・・・
勇気をふりしぼって逢いに行けば・・・逢えるかも知れない。