Episode No.589(20000717)：時々、自分に言い聞かせないト

Episode No.589(20000717)：時々、自分に言い聞かせないト

おそらく、どんなに人にとっても、一番の興味と疑問の対象は・・・自分自身なんじゃないかな?

世間から高貴の目で見られている人にとっても・・・。
ダンボールにうずくまって寝ている人にとっても・・・。

誰もが「自分の思うように生きられたら、どんなに幸せか」と思うだろうけれど・・・。
「自分の思うように生きる」とは具体的にどんなコトなのか、明確な答えを出せる人は少ないと思う。

金や地位や名誉・・・ないモノねだりはあるにしても・・・。
例えば、事実上、国家の最高権力者である総理大臣だって・・・。
四六時中監視された生活の中で「自分らしさ」を出せる場面など、とてもありはしないだろう。

趣味でも仕事でも、本当に好きじゃないと続かないとは思うけど・・・。
自分が本当にやりたかったコトを通じて世の中で認められた・・・という人も稀だ。

今から55年前の1945年7月16日は、世界初の核実験がアメリカ、ニューメキシコで行われた日。
当時のルーズベルト大統領宛に原子爆弾の可能性を示唆したアインシュタインが・・・。
実は有名な「相対性理論」でノーベル賞をとったワケではないという話は、つい先日もしたけれど・・・。

阪急の創業者で宝塚劇団を作った実業家の小林一三は、本当は小説家になりたかったワケだし・・・。
ヒトラーも黒澤明も、もともとは画家志望だっし・・・。
チャップリンが映画と出逢ったのだって、ほんの些細な偶然が重なっただけのコト。
大富豪ハワード・ヒューズもプロゴルファーになるという夢は果たせなかった。

シャーロック・ホームズで知られる、コナン・ドイルは、本当は歴史モノを書きたいと思っていた。
しかし、ホームズの人気が高かったために、かなり苦しんで殺したホームズを復活させたりした。
第一次大戦の頃には、親しい友人、知人・・・そして、ひとり息子まで亡くし。
晩年は、死後の世界からのメッセージといわれる自動書記をはじめとする心霊学にハマってしまった。

思い切り自分の好きなコトをやる・・・という意味においては、地位や名誉はかえって邪魔だろう。

首相官邸二階の執務室にある、総理大臣の椅子に腰を沈めてニヤリと笑う顔と・・・。
毎日、手入れをしていた小さな庭先に植えた四季の花が開いたのを見てニコリとする年寄りと・・・。
どちらが幸せか・・・一概にはいえない。

結局、人が幸せに生きる方法は、たったひとつしかない・・・と思う。
それは、どんなモノであれ、自分の目の前に巡ってきたモノに対して全力投球するコト。

夢を追うコトは大切だし、心の支えにはなるけれど・・・。
考えてみると、夢とは永遠の片想いの相手のようなモノ。
その慰めが度を超してしまうと足下をすくわれかねない。
まるで、自分で自分を騙すようなモンだ。

結局、本当のところ自分に何ができるのかは誰にもわからない。
それを証明していくためには・・・。
目の前にあるコトをひとつひとつこなして行くしかないだろうな、やっぱり。

さぁ、今週も・・・頑張ろう!