この世の中は、どうも金持ちほど金が増えるようにできているものらしい。
銀行の金利も今はたいしたことないが、100万円預けた時と100億円預けた時とでは、利子のつき方は月とスッポン。
勝海舟は、寒村だった神戸に海軍操練所を設けて人材育成に力をそそぐとともに、やがてはこの神戸が日本を代表する貿易港になるとにらんで周囲の土地の買い取とって後に大儲けをしたが、いかに安かったとはいえ、最初に土地を買い占めるだけの金がなければ、始まらない。
石油関連機器事業から身を起こし、航空機、衛星など広範な事業に成功したハワード・ヒューズは、アメリカで今世紀最大といわれる伝説の大富豪。
彼が残した資産は、1976年に彼が死んでから次々と売却されることになったが、最後の資産が売却されるまでには、死後20年もかかった。
マフィアが財源を出資していたラスベガスをいわば街ごと買い取って、マフィアを追放したのもハワード・ヒューズの仕業なら、一方では、愛人を主役に自ら監督となって映画を制作した。
こうして、豊富な財力と類い希なる知恵をもち、幅広い分野で活躍した彼には、もともと4つの夢があった。
「4番目の夢は世界一の大富豪になること。3番目の夢は世界一有名な映画プロデューサーになること。2番目の夢は超一流の飛行家になること・・・」
どれひとつ挙げても一人の人間が一生かかっても、なかなかできそうにないことだが、4つの夢のうち、この2番目から4番目までをハワード・ヒューズはすべて実現している。
だが、1番目の夢だけは、ついに果たせなかった。
ハワード・ヒューズ一番の夢、それは「世界一のプロゴルファーになること」だった。