先日、娘がもらってきてくれた
黒澤明に関する本を読み始めてから、
あらためて黒澤明に興味を覚える。
で、引き続き読んでいるのが
「黒澤明と七人の侍」という文庫。
いわば「七人の侍」のメイキング本だ。
「七人の侍」といえば
言わずと知れた日本映画の、
いや世界中の映画ファンから愛される
映画の中の映画。
かのスピルバーグ監督は、
自身の映画の撮影に入る前に
必ず「七人の侍」を観るらしい。
それほど優れた作品を作った黒澤明大監督。
だけど、「七人の侍」を作った時には
大御所というには、まだ若い43歳だった。
その前に撮っていたのは「生きる」…で。
その前は「羅生門」で
ヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞している。
年齢的には若くても、
もう貫禄は充分…だね。
そういった成功の積み重ねがあって、
はじめて日本映画としては、
とてつもないスケールの映画
「七人の侍」は制作が開始できた。
広告制作関係の仕事をしていると、
よく「俺に総合カタログを作らせれば」
なんてこうと言う奴がいたけど…
はがき一枚作る仕事をバカにするような奴に、
いきなり何ページもあるカタログ制作など
任せてもらえるはずがない。
階段を登る時、
3段飛ばしくらいはできても、
10段飛ばしはできないんだ。
早く登りたければ、
せっせと1段ずつ登る方がいい。
登り方ばかり考えているうちに、
同じ場所にいた奴らが、
どんどん登っていってしまうと、
もっと奇跡みたいなことばかり考えはじめ…
やがてそれが到底無茶だと知るや、
今度は登らなくてもいい方向を考え始める。
足りないのはチャンスではなく努力。
終いに…自分の夢を裏切って、
自分を正当化しながら小さくなってゆく。
それは、かつて
自分が一番嫌った「ずるい大人」だろ。