Episode No.2928(20080108)
幸福と快楽

「歴史と品格は、
 そう簡単に手に入らない」

昨年は「〜の品格」という言葉が、
ずいぶんと流行ったけど、
「〜の品格」が
いったいどんなものであるのかがわかっても、
その品格が容易に身に付くとは限らない。

知ることはスタートであって
ゴールではないから、ね。

冒頭の言葉は巨匠・黒澤明監督
この言葉が紹介されているページには、
こんなことも書いてある。

「なぜ、人間は
 幸せになろうとしないんだろう」

テーマが語れるくらいなら
映画などわざわざ作らない
・・・と豪語していた黒澤監督だが、
生涯に生み出した30本の映画のすべては、
この一言に尽きる・・・とも語っていたようだ。

愛娘の黒澤和子さんは、こう解説してる。

誰でもみんな幸せになりたいのに、
ちょっとした努力の怠り、
ほんの少しの思い違い、
もう一歩努力すれば
共存共栄の道が開けるというのに、
愚かにも人間は弱いからそれができない。

・・・確かに、ね。

楽をしたいという気持ちが、つまり弱さ。
楽をすることが幸せだと勘違いするけれど
・・・楽は、ほんの一時しのぎ。
幸福からは、ほど遠い。

参考文献「黒澤明・生きる言葉」黒澤和子=著