Episode No.1169(20020524):見えないものを感じさせる人たち

また今日もDVDで見た話。

『フォレストガンプ』のDVDを買った。
映画は観ていて、すでにビデオも持っているけれど
さらにDVDまで買ってしまうのは・・・
特典映像のメイキングが観たいからだ。

映画のメイキングに限らず
何か物が創られているのを観るのが私は好きだ。
たまたまチャンネルを合わせた教育テレビなどで
宮大工が神社を造っていたり・・・
ガラス職人がビードロを吹いているところがあっても
つい見入ってしまう。

『フォレストガンプ』のDVDは2枚組で
1枚は本編、もう1枚はまるまるメイキング。

そこにはスクリーンテストの様子も収録されていた。

スクリーンテストとは、役者とカメラマンのリハーサルみたいなもの。
セットも衣装もない状態で
主演のトム・ハンクスがヒロイン、ロビン・ライトと掛け合いをしている。

これは、スゴイ・・・素人目に見てもうまい。

本編を見ているせいもあるだろうけど
セットまで見えてくるようだし・・・
そこには絶対にいないはずの、役者たちの視線の先に
もう一人の人物がいるように見える。

見えないものを感じさせる・・・
これがプロの仕事なんだな、と関心する。

SFXチームをはじめ、さまざまなスタッフのコメントも収録されている。

話題になったJ.F.ケネディとの会見シーンの苦労話はもちろん、
こんなところにまでSFXが使われていたのか・・・と驚かされるシーンも多い。

SFXで驚かされるのは、当然と言えば当然だが・・・
意外と新鮮だったのがサウンド・デザイナーの話。

サウンド・デザイナー・・・日本では音響さん、と呼ばれる職種で
画面にマッチした音を録音してきたり、作ったりしてつけるのが仕事。

『フォレストガンプ』には・・・
ベトナム最前線でのスコールや、嵐の海など、雨のシーンが多い。

ひと口に雨の音、と言っても状況によってさまざま。
雨の激しさの違いもあるし、
降りそそぐ先が泥なのか、鉄なのか、水面なのかによっても当然違う。

現場の音をそのまま使えばマッチすると思いきや・・・そうではないらしい。
現場ではひろえない音もあるし、
そのまま使うとかえって嘘くさくなる音がほとんど。

つまり、サウンド・デザイナーの仕事は
本物より本物らしい音を創ることなのだ。

本物より本物らしい。
それを感じさせることができるか、できないかが・・・
映画創りに限らず、
すべての仕事のプロに共通する命題であるように思えた。

そして、たいていの人たちは・・・
プロが創ったものを、本物だと思いこむモンだよ、ね。


参考資料:DVD「フォレストガンプ〜一期一会」CIC・ビクタービデオ=発売