Episode No.831(20010425):政治は歴史を変えられるか?

私たちが学校で習う歴史というのは・・・
言うまでもなく歴史のごくごく一部、いわば「目次」に過ぎない。

徳川何代将軍の時に何があったとか・・・
何内閣の時にどうしたとか・・・

それは日本のごく一部の歴史であって・・・
直接、庶民の暮らしとはかかわりのない場合も多い。

私が浪曲に歌われた清水次郎長の本当の歴史に興味を覚えたのも、実はそこで・・・
調べてみると、そこには学校では習わないような
幕末から明治維新にかけての庶民の暮らしの様子がわかって面白い。

現代のようにマスメディアも発達していない時代の話。
大政奉還」の意味を知る庶民はすごく少なかったし・・・
おそらく新しい時代を庶民に感じせたのは、ザンギリ頭くらいだったろう。

さて、今からちょうど133年前の1868年といえば・・・まだ慶応4年。

その年の4月11日に歴史的な出来事が起こった。
江戸城の無血開城だ。

時まさに、戊辰戦争の真っ直中。
戦線は北陸から東北へと移っていってる時の話。

この年の今日、4月25日に横浜港からハワイへ出航する船があった。

乗り込んでいた日本人は約120名。
これが何と・・・ハワイ移民の第一陣だった。

この激動期にかかわらず、ハワイへの移民が行われたのは・・・
アメリカ人、ウエンリードがハワイでの砂糖キビの栽培のために日本人を募集したため。

1ヶ月の賃金は4ドル。
3年契約の旅が、この日はじまったというワケ。

結局、雇い主との間がうまくいかず・・・2年後には全員が帰国してしまったらしい。

政治は国を動かしているはずだけど・・・
結局、新しい動きは常に民間がリードしているのが現状。

だから、本当の歴史は・・・政治の動きだけ見ていてもわからない。

民主主義の国なら・・・
本来、政治は民間を助けるためにあるワケだから
それも当たり前と言えば、当たり前のような気もするが・・・

民主主義なんて言葉が知られる、ずっと以前から・・・実は、こんな風だった。

今度の首相は、少しは今までと違う・・・のかな?!
でも結局、誰かに頼っていては・・・新しい歴史は作れないだろう、な。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊