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Episode No.794(20010313):「選ぶ」ことより、まず「選ばれる」こと

自分が望むものが・・・本当に世の中にあるかどうかは、わからないし
自分が望むものと、世間が自分に望むものは・・・実は違うかも知れない。

と、まあこの手の話も何度となくしてきたけれど・・・今日もそんな話。

本業と副業。
学生がアルバイトをしているというのは、もちろん副業だろうけど・・・
会社の仕事以外にアルバイトはしていないというサラリーマンでも・・・
本業以外に「やりたいこと」や「やらなければならないこと」は、どうしてもあるよね。

いろんな人との関わり合いの中で生きている以上は・・・
「これさえやっていれば文句は言われない」というわけには、なかなかいかない。

押しつけられたことはだと嫌気がさす。
でも、進んでやっていることなら、むしろ副業をやる時間を絞り出すために本業も頑張れる。

宮廷音楽家の本業としていたハーシェルの趣味は天体観測。
昼は音楽に没頭し、夜は星を見上げるという何ともロマンチックな生活を送っていた。

今からちょうど220年前の1781年3月13日。
ハーシェルは、いつものように自作の望遠鏡を覗いて夜空を見上げた。

そこで彼が発見したのは・・・太陽系7番目の惑星である天王星だ。

この快挙で、彼は音楽家から天文官に転身。
その後、生涯に2,300もの星雲を発見したという。

もちろん、彼にしてみれば・・・
肩書きが何であろうが、心に音楽を奏でながら夜空を眺める習慣にかわりはなかったろう。

どんなに好きなことがあっても・・・
いきなり、それだけで食べていけるということは、まずない。

食べるために仕事をするのは耐えられない・・・という人もあるかも知れないが
それでは、仕事以前に独立した大人として認めてもらえない。

大人として認められないような人に・・・誰が責任ある仕事を託してくれるだろう。

ハーシェルだけでなく、夏目漱石だって、三島由紀夫だって・・・
副業で成功するまでは、本業も、それは懸命になってやっていたに違いない。

それでツブれてしまうほどのだとしたら・・・しょせん実を結ぶことはできないんじゃないかな?

本業も副業も・・・両方とも、できる限りのことをやってみて
両方とも認められた人だけが、自分の進む道を「選べる」のであって・・・
いきなり自分で「選ぶ」なんてのは、ひょっとしたら単に自信過剰なだけかも知れない。

そりゃあ自分の人生だから、自分のやりたいように生きたいけどね。
自分だけで生きているわけではないから・・・
それを認めさせるためには、やっぱり「」が必要だし・・・
どんなに好きなつもりのとこでも「追われる」とイヤになってしまう。

「力」をつけるためには・・・
目の前にあることを、片っ端からガムシャラにやり遂げてみるしかないな、きっと。

自分に何が向いているかなんて・・・本当は自分に一番わからないことだし、ね。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊 ほか