Episode No.424(000105):文豪は職業不倫の達人
今日、1月5日は夏目漱石の誕生日。
慶応3年・・・1867年生まれだから、生きていれば133歳というコトになる。
慶応3年というと、その年で徳川幕府が終わりを告げた年。
翌年は明治元年になる。
ちなみに漱石が胃潰瘍で亡くなったのは1916年、大正5年だから49か50・・・若かったね。
最後の作品『明暗』は新聞連載中で、死後も5日間にわたって掲載されていたという。
さて、漱石と言えば誰しもが認める文豪でお札にまでなった人だが、もともとは国語教師。
いわば小説は"職業不倫"の愛人だ。
漱石と並び、明治の二大文豪として知られ、漱石と同じ家屋に住んでいた森鴎外も本業は医者。
あの純粋すぎる天才、三島由紀夫だって学生時代に文壇デビューはしていたものの、大蔵省の役人だった時代がある。
小説家との二足のワラジで寝不足におちいり、電車のホームから落ちそうになったコトがきっかけで、すぐに役所勤めは辞めてしまったらしいが。
どんなに自分が好きな道を歩みたくても食えないコトには足も上がらなくなってしまう。
人はパンのみに生きず・・・とは言うものの、確かに「のみ」ではないが必要不可欠ではある。
それに、ことに小説をはじめとする創作活動の世界では、その世界しか知らない浮世離れした人が書くモノよりも、一応はちゃんと世間を知っている人の書くモノの方が読んでいて納得できるし、場合によっては専門的な知識を知るコトもできる。
創作活動に限らず政治の世界だって、そうじゃないかな?
官僚出身の政治家は法案を作る専門家かも知れないけれど、民間でのビジネスを成功させたうえで政界に入ってきた人の方が、どんな法案が必要か・・・というコトをわかっているような気がする。
結局、夢を実現した人たち、あるいは自分の表現したかったモノを世間に受け入れてもらえた人たちって、みんな人並み以上のコトを成しえた人たちなんだな・・・と思う。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」
確かに、そうだよ・・・漱石さん。