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Episode No.722(20001219):人間万事・・・

暮れも迫って・・・金策に走る経営者を見てきた。
私も人ごとじゃない。

「人間万事塞翁が馬」という諺がある。
「人間万事塞翁が丙午」というのは青島幸夫が直木賞をとった小説のタイトルだったね。

諺の由来は、ご承知の通り・・・
昔、中国の国境近くに住んでいた老人が飼っていた馬が逃げ出した。
老人が悲しんでいると・・・その馬がもっといい馬を連れて戻ってきた。
その新しい馬に老人の息子が乗っていると・・・落馬して足の骨を折った。
でも、そのおかげで・・・老人の息子は戦争に行かずに済んだ・・・という話。

つまり、不幸だと思っているコトも・・・
ひょっとしたら幸福に転じるかも知れないという意味の諺だ。

今、苦境に立たされている人にとっては励みになる諺だろうけど・・・
客観的に、冷静に考えてみると・・・こんなコトは、まずあり得ない。
と、いうコトが書かれているのは『成功者はウソの天才だ』という本。
以前、「うさぎとカメ」にまつわる解釈でも紹介したコトのある本だ。

正直言って・・・私もそう思うな。
いずれにしても何か救われるコトがあるとしたら、それは努力の結果であって・・・
偶然を頼りにしていたら、うまくいくハズなどない。

「人間万事塞翁が馬」なんて・・・「ひょっとしたら宝クジが当たるかも知れない」程度の慰めだよね。

私も大好きな偉人たちの話をたくさん紹介しているけれど・・・
「あの人だって、この程度だった」という安心感を伝えるために書いているつもりはない。

私が偉人の話を調べていて、いつも気になるのは・・・
その偉人が、今の自分の歳には何をしていたのか、というコト。

すると、当然それなりに頑張っているんで「自分もこのままじゃいけない」なんて思ったりする。
大器晩成はあるにしても、ずっとノンビリやってきて「いきなり成功」している人なんて、誰一人いない。

だから金策に走る経営者は、まだいいんだと思う・・・動いているからね。
売り上げが芳しくないのに「来年はきっと良くなる」なんて・・・
自分に根拠のない希望的推察だけしてノンビリ構えていたら、間違いなく潰れちゃう。

きっと、そういう人たちは会社が潰れても「世の中が悪い」と思うんだろうけど・・・
そういう意味で、誰にでもまんべんなくイイ世の中なんて・・・人類はじまって以来、ないんじゃない?!

人間万事・・・努力の結果だよ、ね。


参考資料:「成功者はウソの天才だ」神一行=著 KKベストセラーズ=刊