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Episode No.697(20001120):永遠の命をつくり出す仕事

女流作家、セルマ・ラーゲルレーフは・・・
今から142年前の今日・・・1858年11月20日、スウェーデンに生まれた。

51歳を迎えた1909年・・・ノーベル文学賞を受賞。
それは、女性として初めてのノーベル文学賞だった。

ラーゲルレーフ? 女性初のノーベル文学賞? ・・・と、いってもピンと来なかった私だが
その作品名を聞いて「ああ、これなら」と思った。

『ニルスのふしぎな冒険』・・・これが彼女の代表作である。

私を含めて、たいていの人は、やっぱりアニメでお馴染みなんじゃないかな?
『アルプスの少女ハイジ』と同じ、カルピスこども劇場じゃなかったったけ?

作家にとって・・・
どちらかといえば自分の名前が残るより、自分の生み出した作品が残る方が幸せな感じがする。

自分を生み出したのは自分じゃないけど・・・
作品は間違いなく、自分が生み出したモノだからね。

あのシルベスター・スタローンも・・・
「自分が死んだら、新聞の見出しには『ロッキー死す』と書いてほしい」
なんてインタビューで言っていたのを読んだ記憶がある。

手塚治虫が虫プロダクションを倒産させた時の新聞の見出しは「鉄腕アトム空中分解」だった。

最も原作のアトムとアニメのアトムが違うように・・・
作者の手を離れて勝手にひとり歩きをしてしまう作品は、作者にとっては淋しいモノだろう。

アニメのニルスだって、原作とどこまで同じなのかは、よくわからないし・・・
原作者が亡くなっても続いている『サザエさん』や『ドラえモン』などは・・・
いったいどこまで作者の手によるものなのかさえ不明だ。

それでも、寿命のある人間と違い、永遠の命をもつ作品の主人公たちがいる限り・・・
また、いつの時代か作者本人には思いもよらぬきっかけから・・・
原作を手にしたり、作者の生涯を調べたくなる人も出てくるコトだろう。

その度に、未来永劫、自分が生きた存在理由を再確認してもらえるなんて・・・
やっぱり残る仕事をできるっていうのは魅力的だな。
もちろん、作者にとって作品が残るコトが一番の幸せだろうけど。

ラーゲルレーフ賞というのもあって・・・
この賞のおかげで、また次々と新しい才能が後世に残されるコトになった。

受賞者のひとりには、トーベ・ヤンソンがいる。

1914年生まれのトーベ・ヤンソンの父は彫刻家、母は画家という芸術一家。
13歳で挿し絵画家としてデビューして、現在もヘルシンキのアトリエで活動中。

誰? それ? ・・・っていう人でも『ムーミン』は知ってるでしょ?


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊 ほか