Episode No.348(991007):やっぱりビジョンが大事 『MADE IN JAPAN』を読み返した・・・先日、亡くなったソニーの盛田昭夫会長が1987年に書いて、話題を呼んだ、あの本。 最も私が読み返したというのは、その劇画版で・・・『大宰相』のさいとう・たかをが書いたモノ。 ソニーの生い立ちとも言えるこの話の中で最も印象深いのは、世界各国を相手に文化の違いから思い悩む・・・国際化を迫られた"日本"の姿。 日本の契約書にはよくある「双方が合意できない場合には、誠意をもって協議の場をもつこと」なんていう言葉の意味がアメリカ人には理解できないらしい。 「合意できない相手と、どうして誠意をもって話せるんだい?」・・・言われてみれば確かにそうだ。 ドライなマニュアルのうえに成り立つ欧米のビジネスは、効率的で一見無駄がないように思える。 しかし、それに従って動く人間という生き物はどうか? 私は何も欧米型のビジネスを批判するつもりはさらさらない。 むしろ、育ってきた環境が違いすぎる世代のギャップを考えれば、同じ日本人同士であっても基本的なマニュアルに従ってコトを進めることができないようでは組織の存続はあり得ない・・・とさえ思っている。 だから、欧米型と日本型・・・どちらがいいとも言えないし、双方にイイところもあれば、悪いところもあるのは当然の話だと思う。 ただ、ひとつハッキリしているのは、日本をはじめ世界の人々が、何故、盛田会長の言葉に耳を傾けるのか・・・というコト。 それは、言うまでもなく盛田会長が成功者だからだ。 何をもって成功者と言うのか・・・という点も論議が分かれるところだろうが、少なくとも、自分がやろうとしたことを成し得た人は成功者に違いない。 最近は外国のビジネスマンの中にもカラオケが得意な人が増えたようだが、日本企業が力をもっていなければ、何もカラオケにまでつき合って、日本企業と仲良くなろうなんて人間は現れなかったに違いない。 ビル・ゲイツが以前来日した時、日本の某大手メーカーでミーティングがあって、昼食は何がいいかと聞かれた彼がハンバーガーと答えたおかげで、役員があわててファーストフードへ走った・・・という話は、前にも書いたよね。 盛田会長が亡くなった直後、テレビはさかんに生前の姿を映しだしていた。 コロンビア映画を買収・・・なんてところをやっていたところが多かったように思うが。 何千億円もかけてハリウッドの映画会社を買い取るなんてことは、そりゃあ金持ちでなければできない。 けれども金より先に、まずビジョンがなければ絶対にできることではないだろう。 金は目に見える力には違いないけれど・・・、ビジョンを持つ人のところに集まる傾向がある。 いっぺんに金持ちにはなれなくても、ビジョンを持つことは今スグ・・・資格なしに誰にでもにでもできることだよな。 ビジョンがなければ、その実現にいったい何が必要なのかさえ・・・見えてこない。
参考資料:「劇画版 MADE IN JAPAN」さいとう・たかを&盛田昭夫=著 朝日新聞社=刊
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