Episode No.345(991004):夢みる人よ、永久に・・・ ソニーの盛田昭夫名誉会長が昨日10月3日、亡くなった・・・78歳だった。 "ウォークマン"発売20周年の今年、それをシッカリと見届けてこの世を去ったことで心残りはなかったかもしれないが・・・。 つねに未来を志向していたソニーの創始者にとって、夢の21世紀を見られなかったことは、実に残念だったに違いない。 20年前・・・。 盛田と二人三脚で世界企業ソニーを育て上げ、1997年に亡くなった井深 大(まさる)は会長。 盛田は社長の席にいた。 1977年、ソニーから"プレスマン"という製品が発売される。 その名の通り、新聞記者向けに作られた、小型カセットレコーダーだ。 出張の歳、ポータブルのステレオカセットとヘッドホンを持参し、移動中に音楽を聴くのを常としていた井深会長は、"プレスマン"の発表後、すぐに担当技術者の元へ行き 「録音機能はいらないから、ステレオ回路を内蔵した"プレスマン"を作ってくれんかな?」 と頼み込んだ。 会長愛用の改造型"プレスマン"を見た、盛田社長はひらめいた。 「これは一日中、音楽を楽しんでいたい若者の願いをかなえる製品になる」 かくして2年後の1979年に発表された"ウォークマン"は、以来20年間ヒットを続け、今や世界中に定着した。 若者の志向を見抜き、その夢をかなえたのは、当時70歳の会長と58歳の社長だった。 ところで、盛田会長といえば、国際派として知られ、白髪が印象的なおしゃれな人・・・というイメージを持つ人も少なくないだろう。 白髪は英語で言うとwhiteまたはgray hairだ。 ところが盛田会長がアメリカに行った時、ある人に 「あなたの髪はロマンス・ド・グレーだ」 と言われたという。。 直訳すれば"夢のような灰色"・・・"夢のある熟年"という意味合いにもとれる。 このエピソードを盛田会長が広めたことから、以来、盛田会長のような見事な白髪をロマンス・グレーと呼ぶ日本人が増えた。 つまり、盛田会長こそ元祖ロマンス・グレーだった・・・というワケ。 夢をカタチにできる人は・・・やっぱりカッコいいよ、ね。
参考資料:「20世紀の発明・発見博物館」グループ・サイエンス21=編著 ワニ文庫=刊 「なんでも第一号」びっくりデータ情報部=編 青春出版社=刊
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