Episode No.346(991005):デジタル・ハルマゲドン 私はソニー・ファンである。 ・・・同時にAppleファンであり、ホンダ・ファンでもある。 パソコンは、当時最もとっつきやすかったAppleから始めたが、現在はソニーのVAIOも使っている。 あいにく現在はホンダの車には乗っていないが、つい先日、HONDA S600のミニカーを購入し、部屋に飾っていた本田宗一郎の肖像の隣に並べた。 かつて、まだ数十人しかいなかった従業員を前に、その本田宗一郎が、こう演説したのは有名な話だ。 「日本一じゃダメだ。世界一になるんだ。日本で一番になれたとしても、やがて海外からモノが入ってくれば、すぐに2位、3位に転落する。・・・日本一でいようと思ったら、世界一になることだ」 私が好きな3つの会社は、扱っているモノも表現も異なるが、みんな同じようなスピリッツを持っているような気がする。 本田宗一郎が「これからは車も電気に詳しくなければ作れない」と考えて、訪ねた先は、東京通信工業という会社・・・今のソニーだ。 以来、ソニー創始者の井深 大と本田宗一郎の交流は死ぬまで続いた。 Mac OSに使い慣れた私が、仕事上の都合からWindowsも使い出した時、最初に手にしたのはソニー製ではなかった。 今、VAIOを使うようになって感じるのは、同じWindows搭載のパソコンが多い中で、VAIOだけはどこか違う・・・ということだ。 ひと口で言えば、使い慣れたMac OSにより近い感覚とでも言うべきか・・・。 考えてみると、ソフトからハードまで一貫して製造しているのは、パソコンメーカーの中でもAppleとソニーだけだろう。 もちろんVAIOのOSは、Windowsでマイクロソフトの製品だが、その先につながるビデオやオーディオ機器のことまで考えたオリジナル・ソフトをVAIOは持っている。 ファンクション・キーのようなメール・ボタンを押すと、パソコンが立ち上がり、メールのソフトを起動し、メールを確認する・・・。 最近は似たような機能を搭載した他社製品も出てきているが、最初はVAIOだった。 供給されたOS中心の設計ではなく、ユーザーサイドの使い勝手に合わせた設計を考える・・・そういう点で、"ウォークマン"をはじめとする新しい生活必需品を数多く提案してきたソニーには、他社メーカーにない独自思想があるように思える。 インターネットをはじめとしたデジタル技術中心の世の中には、もう家電メーカーもゲームメーカーもパソコンメーカーもない。 同じように、メーカーも流通も小売りの区別もつかなくなってきているのが現状だ。 本田宗一郎が唱えた「日本一をめざすには・・・」という言葉は、すでに国だけでなく業種も越えようとしている。 つまり、これまで家電メーカーといわれていたところを例にとれば「家電メーカーとしてトップになろうと思ったら、パソコンでもゲームでもトップにならなければならない」というワケだ。 やがて、その波はいかなる業界にも波及する。 狭い業界で専門家をきどっていると・・・やがて食えなくなる時代が来る。 現役で仕事をするのがあと5年程度ならなんとかなるかもしれないが・・・20年、30年は頑張らなきゃならないとすると・・・そういう覚悟は必要だと思う。 やっぱり、ハルマゲドンは来ていた・・・のかもね。
参考資料:わかる人にはわかる・・・でしょ?
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