Episode No.4237(20120321)[日記]Diary

歴史に近づいてみる
I visit the history.
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メイキングものが好きな私は、
人物に対しても、やはりメイキングが気になる。

時間さえあれば…と、いうより、
ストレスが溜まってくると、
今の仕事を忘れるために
学芸員にでもなったつもりで、
気になる人物の足跡を追ってみたりする。

伊豆・下田は
生前、三島由紀夫が毎年夏になると
家族を連れて過ごした場所だ。

自分も少しだけそれを真似て、
ここ7〜8年は家族連れで下田の先、
弓ケ浜まで海水浴に出かけている

伊豆半島の南端、下田は本当にいいところだ。

三島由紀夫にも、お気に入りの場所が
いくつもあったようだが…
中でも特に気に入っていたのが、
下田の商店街にある洋菓子屋・日新堂。
この店のマドレーヌを絶賛していたという。

今でも当時の味そのままの
マドレーヌが売られているというので、
いつか絶対に買いに行ってみよう
…と心に決めていた。

その洋菓子屋の娘さんが
2010年に『三島由紀夫の来た夏』という、
当時の思い出を綴った本を出した。

三島由紀夫が通っていた頃、
高校生だった娘さんは今、
エッセイストとして…
そしてジャズ歌手として活躍されている。

去年、その本のことを知って
早速手に入れて読んでみると、
いよいよ下田に行きたくてたまらなくなった。

かくして子供たちの受験が終わるや否や、
土砂降りにもかかわらず下田に飛んで行った。

お目当ての日新堂のウインドウには
ハッキリと「三島由紀夫が愛した…」と
貼り紙が掲げてある。

今年大学生になる長男と店に入る。
あちこちに三島由紀夫の写真がかかっている。

持参した本…『三島由紀夫の来た夏』を掲げて
「この本を見て来たんです」と
店番をしているおばあさんに言うと、
とびきりの笑顔を見せてくれた。

やがて奥から女性が顔をのぞかせた。
まさかの…
『三島由紀夫の来た夏』の著者、
横山郁代さんだった。

ショーウインドウをはさんで、
しばし三島さんの人柄について話をうかがう。
「おちゃめな人でしたよ」
…という言葉が印象的だった。

我々にとっては、もはや歴史上の人物と
日常生活の中で交流をしていた方の話を
直接聞くという体験はすごく不思議な感じがする。

実に気さくに接してくれた
横山郁代さんの歌声もぜひ聞いてみたいと思った。

そして、このお店にも、ぜひまた来たいと思った。
三島由紀夫が愛したマドレーヌは、まさに絶品。
すぐに懐かしく思える味だった。

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