Episode No.4169(20120102)[伊豆紀行]

川奈 岩登松
Pine like a lion standing in the top of the rock.

伊豆に別宅がある…なんていうと、なんて贅沢な…と思うかもしれない。

私の秘密基地は、確かに敷地こそ狭くはないが、建物自体は風呂もないトレーラーハウスで、ほんの小屋。最も贅沢な自然はある。別にうちだけのモンじゃないけど。

心の隙間を埋めたい時期があったのと、子供たちに田舎を作りたかったために安い物件を見つけて7年ほど前に購入。土地代は横浜の10分の1程度だから、私からすればベンツに乗る方が、はるかに贅沢だと思う。

何も土地建物を買わなくたって旅行すればいい…と思うのは、むしろ時間的にも金銭的にも余裕のある人だろう。

地図を見て、計画を立てて、ホテルを予約する…なんてのは、時間と気持ちに余裕がなければ、とてもできないことだ。

仕事の都合によって、行けそうな時にパッと行くためには、予約のいらない寝床が必要だし、場合によっては多少の仕事はこなせるだけの設備もなければならない。秘密基地たる所以はそこだ。

…そんなわけで、月に一度くらいは週末の深夜、海沿いの道を蹴って伊豆に向かう。

土曜日は例によって草刈りと日帰り温泉
日曜日はスポーツクラブに寄って帰りたかったので早めに出ることにした。

せっかく天気がよかったので…ちょっと寄り道をした。とは、いってもいつも通り過ぎていた場所に降りてみただけだけど、ね。

国道135号線から一本海沿いに降りた道。川奈ホテルがある通りを伊東に向かって潮吹き公園の手前あたり。海に向かって大きな岩の洞窟が口を開けている。海辺まで降りる坂道があって釣り人の姿が見える。カメラを片手に下ってみることにした。

まず目に入ったのが黄色い鳥居。岩がくり抜かれたようなその奥には小さな祠があった。

後にネットで調べてみると「姥子神社」という、かなり大昔に作られたもので歴史は古墳時代にさかのぼるようだ。

そして、その鳥居からまったく海の方を見るとマイクロバスほどの大きさがある溶岩があった。半分は海に入って波を切っている。

この辺りの岩には溶岩が多い。伊東の地盤自体、もともと大室山の噴火でできた溶岩の上にあるのだ。

さて、この前に伊豆に来た時には、気まぐれに天城を通って「岩砕木」に出逢った。そして、なんと今回はこの溶岩の上に、まるで自ら根をくねらせて登っていったような松の木を見つけた。

その姿は、まるで崖の上から大地を見下ろすライオンのようだ。例に寄って、この松に勝手に「岩登松」と名付けよう。

一昨年、大室山の「御神木」に出逢って以来、伊豆に行く旅にものすごい生命力を感じる不思議な命に出逢うようになった。「御神木」の後は天城の「岩砕木」で、その次はこの川奈の「岩登松」。

実は、さらにこのひと月ほど後、一碧湖の沼池で何とも女王の風格を持つ不思議な金色の魚に出逢った。ちょうど皆既月食の日のことだった。

何かに導かれているのかなぁ…。今年はひとつ、伊豆のパワースポットマッブでも作ってみるか。

そもそも、この秘密基地の場所が不思議な縁でね。お向かいさんは偶然にも、私の高校時代の先生の息子さんだったり、中学時代の同級生に伊東でバッタリ会ったり

何か遠い祖先に呼ばれているような感じがするんだよ…伊豆という場所は。うちの父方は静岡の出身だしな。私自身は東京生まれの横浜育ちで別に海辺に育ったわけでもないのに、よく海の夢をみるのは遠い祖先の記憶なのかもしれない。

その証拠に、こうした不思議に命たちに出逢うと、何とも言えない懐かしいような気持ちになるんだよ。

ほかの伊豆紀行

■伊豆高原・橋立吊り橋

■大室山の御神木に出逢う

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■安く贅沢気分が味わえる温泉レポート
 高原の湯 vs 赤沢日帰り温泉館

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