Episode No.3562(20100125)
人生夢道中

広沢虎造の伝記を読んでる。

次郎長伝が好きな私には、たまらない内容だ。
まさにメイキング・オブ・次郎長伝

浪曲を聴いたこともない人にとっては、
ずらずらと書き並べられた台詞の数々に、
ちょっと閉口してしまうかもしれない。

節回しが耳になれていると、
読んでいるというより聴いているような文章。
もちろん、
虎造が誰かと話している台詞は
虎造の声で読む。

一世を風靡した虎造にも
下積み時代があったのはもちろんだが…
生まれた時代が、
もう少し先でも後でも、
虎造節は歴史に残らなかったろう。

虎造節が全国的に成功を収めたのには…

東京生まれの虎造が大阪で修行を積んで、
関西節と関東節の両方を兼ね備えていたこと。

そして…
ラジオ放送がはじまったこと。

また…
節回しと台詞に定評がありながら、
声が小さいことが唯一の欠点だったのを、
劇場に設置されたマイクロホンが助けたこと。

…などの理由が挙げられる。

古めかしいことを「浪花節だ」なんて言うけれど、
その浪花節も実は、
当時最先端のテクノロジーによって
大道芸から全国に認知される大衆芸能になったわけ。

本づくりにおいては、まず人との出逢いがあった。

虎造の次郎長伝に笑いの要素が多いのは、
落語家が本づくりのブレーンについていたからだ。

…人も技術もすべては出逢い、なんだな。
自分から外へ出て行かなければ…出逢いはないだろう、ね。

さぁ、飲みねぇ! 食いねぇ!


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