広沢虎造の伝記を読んでる。
次郎長伝が好きな私には、たまらない内容だ。
まさにメイキング・オブ・次郎長伝。
浪曲を聴いたこともない人にとっては、
ずらずらと書き並べられた台詞の数々に、
ちょっと閉口してしまうかもしれない。
節回しが耳になれていると、
読んでいるというより聴いているような文章。
もちろん、
虎造が誰かと話している台詞は
虎造の声で読む。
一世を風靡した虎造にも
下積み時代があったのはもちろんだが…
生まれた時代が、
もう少し先でも後でも、
虎造節は歴史に残らなかったろう。
虎造節が全国的に成功を収めたのには…
東京生まれの虎造が大阪で修行を積んで、
関西節と関東節の両方を兼ね備えていたこと。
そして…
ラジオ放送がはじまったこと。
また…
節回しと台詞に定評がありながら、
声が小さいことが唯一の欠点だったのを、
劇場に設置されたマイクロホンが助けたこと。
…などの理由が挙げられる。
古めかしいことを「浪花節だ」なんて言うけれど、
その浪花節も実は、
当時最先端のテクノロジーによって
大道芸から全国に認知される大衆芸能になったわけ。
本づくりにおいては、まず人との出逢いがあった。
虎造の次郎長伝に笑いの要素が多いのは、
落語家が本づくりのブレーンについていたからだ。
…人も技術もすべては出逢い、なんだな。
自分から外へ出て行かなければ…出逢いはないだろう、ね。
さぁ、飲みねぇ! 食いねぇ!