Episode No.2863(20071024)
「武士道」を伝えたもの

「武士道」という本は
新渡戸稲造が記したものだが、
本来の「武士道」には
宗教にあるような教典というものは存在しない。

諸外国の学校では
普通「宗教の時間」があって、
その教育によって国民は共有の
倫理観や価値観を学ぶものらしい。

一般的な日本の学校にはそれがないのに、
どうやって「武士道」に代表されるような
日本古来の倫理観、価値観を
国民は共有したのだろう・・・?

その明快な答えも
「面白いほどよくわかる武士道」に書かれていた。

いわく・・・
それは大衆芸能によって広まった。

忠臣蔵次郎長伝などなど・・・
正義に対する価値観を
日本人の多くは芸能文化によって
肌に染みこませているのだ、という。

時代劇を好まない人でも、
子供の頃は、
怪獣モノや漫画などを
数多く、繰り返し見ただろう。

そうした作品の作り手は、
一世代前なら、時代劇で育った人たちだし、
カタチをSFやファンタジーに変えても、
その精神は脈々と引き継がれていると
・・・私自身も強く感じる。

やはり「武士道」や「大和魂」は
教義ではなく・・・引き継がれた文化なのだ。

モロボシダンは最愛のアンヌ
自分はウルトラセブンだと告白して、
止めるアンヌを振り切って戦いに挑む。

矢吹ジョー
愛を告白して止める白木葉子を振り切って
最期の戦いのリングに上がる。

・・・まさに
「武士道とは死ぬことと見つけたり」

欧米でも、「武士道」に共感した人は多く・・・
ルーズベルト元アメリカ大統領も愛読者なら、
発明王エジソンの枕元には、
いつも「武士道」が置かれていたという。

・・・と、いうことは、
ルーズベルトやエジソンも
「ウルトラセブン」や「あしたのジョー」を見たら
・・・熱中したかもしれない。

参考文献「面白いほどよくわかる武士道」森 良之祐=著 日本文芸社=刊