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Episode No.670(20001019):ジョークと意地の楽天家

また・・・エジソンの話。
周期的に巡ってくるエジソン・マイ・ブーム。

100年前の人たちが、この20世紀をどう予測していたかという話を昨日はしたけど・・・
今日は、100年前の人たちが、同世代に生きるエジソンをどう見ていたのだろう?

初の発明品「自動投票機」により特許をとったのは22歳。
以来、数多くの発明品を発表し続けたエジソンは・・・
「メンローパークの魔術師」とか「発明界のナポレオン」あるいは「ニュージャージーのコロンブス
・・・とも呼ばれていた。

子供向けの伝記をみる限り"努力の人"という印象が強いんだけど・・・
その人間像に迫る本を読んでみると、決してクソ真面目で暗い男ではなかったようだ。

確かに、先生と意見が合わずに小学校をほっぽり出され・・・
14歳の時には自分で作った新聞を売り歩いて生計を立て・・・
汽車の客に殴られたコトがきっかけで耳が不自由になった・・・のは本当の話。

でも、本人はいたって楽天家。
しかも、ワーカ・ホリックの"変わり者"といった方が実像には近いかも知れない。

本人いわく・・・「耳が不自由だったおかげで集中して本が読めたし、どこでも寝られる」

ベルと争った電話機の発明も・・・特許権はタイミングを逃したものの
すぐに改良型の"よく聞こえる電話"を出したのは、自分が聞こえないと意味がないと考えたからだ。

さらに、そうとうな意地っ張りで・・・
実際に普及したのはエジソン型の電話だったが、ベルに特許をとられたコトを根に持って・・・
巻き返しをはかるために開発したのが有名な蓄音機だったという話もある。
エジソンは電話のオプション・・・つまり、留守番電話を開発するために蓄音機を開発したというワケ。
ちなみに蓄電池の開発は、電気自動車のために着手した・・・って話は前にも書いたかな?!

とにかく当時の人は、そんなエジソンに「不可能はない」と考えていた。

オーソン・ウェルズが、かつて迫真の演技で宇宙戦争のラジオ・ドラマを読んだら・・・
それを聴いた人たちが本当に宇宙人が攻めてきたと思いこみ、パニックが起こったという話があるが・・・

冗談好きだったエジソンは・・・
水と空気と土を使ってビスケットや肉、ワインを作る機械を発明した・・・と言ってニュースになったり
夜空の星は、実はエジソンが風船につけた電球を飛ばしている、と本気で信じていた人も多かったらしい。

もともと、新聞を作っていたエジソンは、どんなコトを言えば話題が集まるかよく知っていた。
いわば、マーケティングや広告屋としての活躍も大きい。

一方で・・・
まだ自分で理論もつかめていない発明について、本気で熱く語り・・・
周囲の期待にプレッシャーを感じながら、完成するまで研究所に寝泊まりしていた・・・という一面もある。

いずれにしても・・・大いに人生を楽しんだ84年間だったろう。
あ! 昨日の10月18日が・・・ちょうど命日だった。

エジソンが開発した技術だけでなく・・・エジソンの生きる知恵も学びたいものだ、ね。


参考資料:「快人エジソン」浜田和幸=著 日本経済新聞社=刊 ほか