Episode No.2861(20071022):
自問自答から生まれし書
お札の肖像にまでなった、
その偉人の妻が・・・
実はアメリカ人だったことは案外と知られていない。
彼の生まれは岩手県。
創立した間もない札幌農学校・・・
現在の北海道大学に入学し、
在学中にキリスト教へ入信した。
卒業後はアメリカとドイツに留学し、
農政学の研究を続ける。
妻と知り合ったのは、
その留学中のことだった。
或る日・・・
彼は知人のドイツ人に、
こんなことを尋ねられた。
欧米では学校教育のプログラムとして
必ず宗教の時間があるのに、
日本にはそれがない。
日本人はどうやって道徳観を培っているのか?
そして・・・
下級武士の家に生まれた彼は、
日本人の倫理観の原点を紐解こうと考えた。
それは、
当時、欧米社会で誤解されていた日本を
正しく伝えるのと同時に・・・
異国人である妻に、
自分をより理解してもらうための手立てでもあった。
こうして、明治32(1899)年に出版されたのが
・・・「武士道」である。
著者は、もちろん新渡戸稲造。
原書は英語で書かれている。
参考文献「面白いほどよくわかる武士道」森 良之祐=著 日本文芸社=刊