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Episode No.443(000127):エキストラ日記

もう20年近くも前のコトになるけれど・・・。

学生時代に自主製作映画に熱中していた私は、よく映画のエキストラのバイトに参加していた。
プロの現場を間近に見るコトができる喜びと、あの何とも言えない緊張感・・・。
時には朝から学校をさぼって毎日通いつめたコトもある。

おもに参加した映画は以下の3本。

今村昌平監督の『ええじゃないか』、新藤兼人監督の『北斎漫画』、熊井 啓監督の『謀殺下山事件』。

『ええじゃないか』と『北斎漫画』は完全な時代劇。
『謀殺下山事件』も戦後間もない頃の話で・・・浅草・三社祭を見下ろす屋上のビアガーデンで主演の仲代達也が謎解きをする。

私はビアガーデンの客。
当時の服装でないとマズイので助監督がエキストラひとり一人のファッションをチェック。
準備していたジャンパーなどを着せていた。
私の番になって私の服装を見た助監督はひと言・・・「キミは、そのままでいいよ」
『謀殺下山事件』の現場では、それが一番印象に残る出来事だった。

しかし何と言っても印象深いのは『ええじゃないか』の現場だ。
のべ半月くらいは・・・通ったモンなぁ。

『ええじゃないか』の主演は泉谷しげる。
その他、当時私の憧れだった桃井かおり・・・倍賞美津子、田中裕子・・・。
男優人ではヤマさん、露口 茂のほか・・・そういえば今は亡き、
三木のり平も現場に顔を出していた。

映画撮影は待ち時間の連続。
何せ真冬に真夏のシーンを撮っていたモノだから、太陽が少しでも陰るとカメラは回らない。

エキストラとして俳優の人たちに混ざって長い待ち時間を過ごしていると、いろいろ見えてくるモノがある。

さすがに大物俳優たちは、待ち時間になるとプレハブ小屋の控え室に戻ってしまうが・・・。
田中裕子は、確かこの作品が映画デビュー作。
いろいろモメごとがあって昼休みには、ほかの俳優たちと離れてエキストラといっしょにカレーを食べていたのをよく覚えている。

ひと口で言うと、テレビや映画で見たコトはあるけれど名前は知らないような俳優に限って、自分よりも立場が低いエキストラに対して・・・よく威張る。

でも、やっぱりそういうところで威張らない人じゃないと・・・その後、出世してないよなあ。

最近、黄桜のCFにも出演してる村田雄浩も『ええじゃないか』時代は新人だったけど・・・。
エキストラから見てもすごくイイ人というイメージがあった。

『北斎漫画』で主演をしていた緒形 拳なんか、エキストラに向かって毎朝「おはよう!」と声をかけてくれたもの・・・。

ファンを大切に・・・というより「いっしょに頑張ろう」っていう人間的な姿勢が・・・嬉しかったね。


参考資料:約20年かけて実証された・・・経験による。

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