Episode No.1067(20020125):黙っていても気づいてくれない
今日、1月25日は映画監督、森田芳光の誕生日。
1950年生まれだから・・・今年で、もう52歳になる。
森田芳光? 知らないなぁ・・・という人も多いかも知れない。
代表作は、松田優作が主演した『家族ゲーム』や『それから』・・・
わりと最近では『ハル』という、パソコンで恋愛をする話もあった。
もう、古いか・・・!
最近の活躍は・・・よくわからない。
最も、これは日本映画の監督みんなに言えることで
たとえ頑張っていても・・・なかなかニュースにならないのは
日本映画ファンにとっては悲しい話だ。
私も昔は8mmフィルムをまわして
自主制作映画なんてモンをやっていたから
森田芳光のことは、デビュー前から知っていた。
別に個人的に知ってたワケじゃないけど・・・一方的に。
商業デビュー作は『の・ようなもの』。
私にとっては一番印象深い作品だ。
若手の落語家たちの青春ストーリーで
ソープ嬢の役を秋吉久美子が演っていた。
「映画館の入場料の高さが客離れの一因」と監督自ら主張して・・・
995円で封切ったことが、まず話題を呼んだ。
実際には、1,000円支払うと・・・
「お守り の・ようなもの」
・・・と書かれた袋に入った5円玉をくれるという趣向。
何せ、出世する人は話題づくりがうまい。
思えばエジソンも、そう。
エジソンを発明家としてではなく、
マーケティングの達人と称した本もあるくらいだ。
その後も森田監督は、さまざまな作品を撮っている。
そして・・・
その都度、役者の心をつかんできた。
前述した故・松田優作も・・・
「年下だけど尊敬できる監督だ」
と森田監督を称している。
その後、松田優作が『ア・ホーマンス』で監督をしたのも・・・
『家族ゲーム』に出演していた伊丹十三が監督に転身したのも・・・
直接のきっかけとなったのは、森田芳光だったんじゃないか、と思う。
無論、伊丹十三は、名監督といわれた伊丹万作の息子だから
充分な素質はあったと思うが・・・
何をきっかけに、その素質が開花できたのかは別問題だろう。
どんなに素質があっても・・・
花開かなければ、誰もそれを見ることはできない。
そのために、きっかけをつかむことが、まず重要だ。
森田芳光が監督として活躍を続けているのは・・・
確かにデビュー作『の・ようなもの』が受け入れられたからだが
どんなに面白いものでも・・・
お客を呼んで来られなければ、見せることはできない。
そして、どんな才能も・・・
実は「見られる」ことでメキメキと力をつけていくものなんじゃないか、な。