Episode No.949(20010910):明治のディズニーランド

東京ディズニーシーが、いよいよ開園したね。

景気低迷が続く中・・・
総工費3,400億円をかけて造られたテーマパークの注目度は高い。

いわゆるテーマパークと遊園地の違いは何か?
その秘密は、徹底した非日常性の演出にあるんじゃないかな。

むしろ、実生活があまりにも苦しいから・・・の空間に人気が集まるのかもね。

さて・・・今から91年前の明治43=1910年の今日、9月10日。
浅草にテーマパークがオープンした。

浅草・・・といえば「花やしき」が有名だけど
91年前にオープンしたのは、その名も「ルナパーク」。
今でも通用しそうなネーミングだ。

ルナ=Lunaとは、ギリシャ語で「月」の意味。
つまり「月の公園」・・・というわけで、夜間にも営業していたというのが大きな特長。
まさに大人のためのテーマパークだった。

経営母体は、吉沢商会という活動写真の製作や輸入配給などをしていた会社。
この点でもディズニーランドに似ていなくもない。
当時、活動写真は時代をリードする花形産業だっただろうから・・・
今で言えば、ゲームソフト・メーカーが造ったテーマパークといった感じか。

あたにく手元に写真がないのが残念だが・・・
パークの敷地は約1,200坪で
15mほどの人工の山から滝が流れたりしていたらしい。

一番の呼び物は「汽車活動写真館」。
東海道線などの沿線の風景を客車そっくりに作られた"揺れる"客席から見るというもの。
まるでテレビのコントに出てくるセットのような気もするけど・・・
バーチャル・リアリティと言えなくもない。
いや、立派なバーチャル・リアリティだ。

と、まぁ大変な人気となった「ルナパーク」だが・・・
そりわりに写真を目にしないのには理由がある。

オープンから、わずか7ヶ月後の1911年4月・・・
漏電による火災で全焼してしまったのだ。

安全管理や防火対策においては・・・
やはり現在のテーマパークのようにはいっていなかった。
現在のテーマパークは・・・本当に大丈夫なんだろうな?

ちなみに経営母体の吉沢商会は「ルナパーク」焼失の翌年・・・大正元年9月に他社と合併。

吉沢商会ほか当時、日本の四大活動写真会社が合併してできたのが
「日本活動写真株式会社」・・・「日活」である。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊 ほか