Episode No.847(20010514):「安心」が危ない

先日、ニュースで・・・
流通トップのダイエーセブン・イレブンが抜いた、っていうニュースを聞いた。

その、ちょっと前には・・・
ユニクロの売上げが3倍の伸びで急成長。

そのまた少し前には・・・
ホンダが史上最高の売上げを出した・・・とか。

小泉新内閣に国民が最も期待しているのは景気回復だって言うけれど・・・
本田宗一郎流に言えば・・・
「国の助けがいるような企業なんか伸びるワケがない」というのも一理あると思う。

アメリカでも売上げランクのトップ10に入るような優良企業は
8割方、ここ数十年のうちに出てきた会社だと言うけれど・・・
日本もそろそろ、そういう状態になってきたというコトか。

成功者が次の挑戦で失敗する最大の理由は・・・
自分の成功した同じ方法で、また成功しようとするからだ、とよく言われる。

印象として・・・前例があるというのは
それだけノウハウがあるコトなので安心なような気もするが・・・
逆を返すと、工夫に乏しくなってしまう。

何より「安心」が危ない。

どんなに、うまくいったコトでも・・・必ず「」が味方してくれているもの。
だから、その都度、原点に返って考えないと・・・思わぬ失敗をする。
昔と同じ「時」など二度とはないんだから、ね。

本当に持ち続けなければならないのは・・・最後までやり遂げるというエネルギーだけで
エネルギーの代わりにノウハウがあるつもりでいると・・・
しまいには「こんなハズじゃなかった」状態に陥ってしまう。

セブン・イレブンは店頭にいち早くPOSシステムを導入したコトでも知られている。
当時は、まだほとんど考える人のなかった
エリア・マーケティングのための具体的な手段に・・・100億円の巨費を投じた。

その結果・・・今日、経験者の勘に頼った商売は完全に敗北したと言っていい。

もちろん、経験があるコトは決して悪いことではない。
どんなにデジタル機器が発達したって・・・
どんなデータが必要なのかを決めるのは人間だし・・・
そのデータを読みとって、次の策を練るのも人間の感覚があってこそだ。

けれど・・・データを小馬鹿にするような感覚では、もう生き残ることはできない。

そういう感覚の人は、きっと昔にもいて・・・
「電話なんか使わずに、相手の顔を見て話さなけりゃ、話したことにはならん!」
・・・とか言って、若い連中を怒鳴りつけていんだろうね。


参考資料:「イトーヨーカ堂の業務改革」緒方知行=著 三笠書房=刊