Episode No.845(20010511):敵を困らせるほどの人

ついこの間「心中」の話をしたばかりなのに、また物騒な話題で恐縮だけど・・・
今日の話は・・・「暗殺」。

歴史上の偉人には、志なかばで刺客の前に倒れた人物が大勢いる。

私がパッと思い浮かぶところでは・・・
やっぱり信長龍馬・・・最近の人ではレノンといったところかな。

そういえば・・・
この間読んだ本田宗一郎の本に、こんなような意味合いのコトが書いてあった。

信長が本能寺で殺られたのは、49か50。
作家の歳は、だいたいそんなモンだから、その年齢までの心境はよく理解できる。
だから信長のことについて書かれたものには迫力がある作品が多いが・・・
自分より歳のいった人のことを想像で書いたモノは、キレイ過ぎて魅力を感じない。

想像力で書けなきゃ作家じゃない・・・って反論されそうな話。
しかし、いかにも「実学の人」本田宗一郎的な考え方だと思った。
最も信長を書いている作家だって、人の首をはねたコトはないだろうけどね。

で、話を「暗殺」に戻すと・・・

政治に深くかかわった人が暗殺される場合
それは、たいてい新しいやり方をしようとして、保守派に殺られるケースが多い。
ある意味で、桜田門外の変もそうだったし・・・

東京駅構内のどこかで・・・壁に弾痕を見た覚えがある。
確か説明書きのプレートもあったはずだ。
調べてみると・・・
1930年11月14日に、時の浜口雄幸首相が撃たれた時のモノらしい。

陸海軍の予算を削減し、ロンドン海軍軍縮条約に調印した浜口首相は、人望も厚かったが・・・
それをよく思わなかった右翼団体構成員に撃たれた。

浜口首相は一命をとりとめたものの・・・重傷を負い
翌年8月に、その傷が元で亡くなっている。

何でも、その時に行った輸血が・・・日本で初めての輸血だったとか。

現行犯逮捕された犯人は死刑宣告を受けたが・・・後に恩赦で釈放されている。
どこかで歴史が妙な方向に動いている時代だったんだね。

ところで、この浜口首相の風貌によって付けられたアダ名は・・・ライオン首相。
新しいライオン・ヘアの首相は・・・大丈夫だろうな?!

「暗殺」までとはいかないまでも・・・
新しいやり方を断行しようとして人に恨みを買うのは、ある程度、避けようがない。
それで、会社生命を絶たれた人も少なくないだろう。

それを恐れて誰ひとり新しいコトをしないでいると・・・
最終的にその組織は「心中」になってしまうんだけど、ね。

まぁ、せいぜい「暗殺」はフィクションの中だけで楽しみたいモンだ。


参考資料:「20世紀新聞」青春出版社=刊 ほか