ウチに飾ってあるお内裏(だいり)さまとお雛さまの体の大きさは、ほぼ同じに見える。
むしろ、豪華に着飾っている分、お雛さまの方が大きく見えるくらいだ。
しかし、自然の摂理から言うと哺乳類の場合は、メスよりオスの方が平均20%程度は大きくなるものらしい。
女の子の節句だから、お雛さまの方が大きくてもいいじゃないか・・・という気もしなくはないが、大きく目立つことが本来の目的ではないはずだ。
たまたま目にした大昔の雛人形の写真では、お内裏さまの方が顔だけでも確かに20%ほど大きかった。
しかし素朴で、見ていて何となく飽きない感じがする。
要はバランスの問題だろう。
これだけ機械化されたコンクリートだらけの街に住んでいる人間も吸っている空気は人工のものではない。
いかに機械が正確にはじき出したバランスの良さより、自然が作り出した一見デコボコにも見えるバランスの中にいる方が落ち着くのは当然だろう。
そういう自然が生み出したデザインをいち早く建築の世界に取り入れたガウディの作品が、今も人々を惹きつけるというのもうなづける。
つり合いをとる・・・ことは決して均等に割ることではない。
どっかが出てて、どっかが引っ込んでいる。
あるいは、どちらかが大きくて、どちらかが小さい。
それらをトータルで見た時に、どうか・・・という問題だ。
お内裏さまより大きなお雛さまより、少し小さ目のお雛さまの方が、きっと可愛らしさも強調されるに違いない。
組織人事も同じことで、みんなが同じくらい優秀だったりすると、かえってまとまらない。
まして反対勢力を力で弾圧すけば、より大きな力がかえってくる。
今から139年前の今日、3月3日。バランスを無理な力で崩した一人の権力者が暗殺された。
大老、井伊直弼。世に言う"桜田門外の変"である。
大老というから、かなりのお年かと思ったら享年46歳。
今なら働き盛りの管理職・・・であった。