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Fictional Talk No.011

架空対談不磨とは

O「誰かあ〜、誰かいねぇかぁ〜、酒もってこ〜い」

J「Oh! バーチャン。ずい分、飲んでるネ?」

O「そんなのアタシの勝手じゃ!! ほい! 酒つぎな!!」

J「こんな、大きな茶碗に?!」

O「ン?! アンタ、外人さんだね?! 茶碗なんて、よくわかるじゃないのさ」

J「そりゃあ、My Wifeもニッポン人だったから」

O「ほぉ〜、そうかい。さ、さ、ついだ! ついだ! ・・・グビッ。はぁ〜うまいぜよ」

J「バーチャン・・・、いったい何が悲しくて、こんなに大酒くらってんダイ?」

O「これが飲まずにいられっかてんだ!  毎年11月15日になると、あの人が殺された日のことを思い出しちまうのさ、畜生!!」

J「あの人って、バーチャンの恋人かい?」

O「ダンナだよ、ダンナ。・・・ボクトツとした人だったけど、そりゃあイイ男だったんだから・・・。それが結婚して、わずか2年で・・・。」

J「そりゃあ無念だったろう・・・わかるよ、俺にもよ〜くわかる」

O「わかったら、さぁ、酒つぎな!! ・・・あんときゃあ楽しかったな、結婚式あげて薩摩へ旅して・・・。何せアタシらが新婚旅行の元祖だったきに」

J「ガラは悪いが憎めないババアだな。・・・ホラ! 酒」

O「ケッ!! 何言ってやがる。アンタが日本の嫁さんもらえたんだって、元をただしゃあ、みんなウチのダンナのおかげだよ」

J「バーチャンのダンナって、そんなに偉い人だったのかイ?」

O「えらいも何も、今の日本を作った男さ!! おそれいったか!! ・・・だけど、新しい日本を見る前に殺されちまって・・・、それからアタシは40年も酒だけを頼りに生きるしかなかった・・・」

J「泣くなよ、バーチャン。アンタの寂しさは痛いほどわかるけど、ダンナのやったことは、その後も受け継がれていったんだろう?!」

O「もちろん、仲間の連中がやってくれたさ。だから、今の日本があるんじゃないか」

J「俺もニッポン人のWifeが良くやってくれたおかげで、今頃になって新しい作品集が出せるんだぜ。命は断てても、その人間の存在を消すことなんて、できやしない。だいたい俺たちはもう・・・」

R「おー! こんなトコにおったかい、お龍よ!!」

O「・・・う〜ん、ムニャムニャ」

R「こりゃ外人さん、えらいスマンきに、ほら、お龍! 起きんか」

J「バーチャン、ブーツはいたサムライが迎えに来たゾ」

O「ん?! あれ、龍馬さん、アンタ生きとったか!!」

R「何言ってんだ、ここにいる者みんな死んでおろうが。・・・まったく、飲むといつもコレじゃ」

J「ハハハ、いいじゃないか、悪気はないんだろ」

R「・・・ほんに、おもろい女よのぅ」

J「ヨシ!! じゃあ俺が、ここに集ったみんなために一曲歌おうじゃないか」

O「ええぞ!! やれ〜!!」

J「・・・Imagine there's no heaven〜♪」


参考資料:「幕末維新・群像の死に際」合田一道=著 小学館ライブラリー=刊
     「21世紀こども人物館」小学館=刊 ほか

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