Episode No.787(20010305):多忙? ただボーッ??
週末・・・久々に電車に乗った。
東京から久里浜を走るJR横須賀線にはグリーン車がある。
この間、腰をおかしくしたばかりの私は・・・
乗車券のほかに大枚750円を支払ってグリーン車に腰を落ち着けることにした。
と、私が乗り込んだ車両には・・・
この沿線に住むという、ある有名テレビ司会者が乗っていた。
どうせなら近くの席に座ってみよう・・・
と、例によってヤジ馬根性ムキ出しで、すぐ近くに腰を下ろしてみた。
その有名司会者に連れはなく・・・1人でひたすら新聞を読んでいる。
ジロジロ見られるのには慣れているとは思ったが・・・
そこは私を含めて3〜4人しかいない車両。
まったく気づかないフリをして・・・聞き耳だけたてていた。
新聞をめくるバサバサという音とともに聞こえてきたのが・・・
ジョキジョキという新聞を切り抜く音と、パチンパチンとホチキスを止める音。
結局、その人気司会者は私より1つ前の駅で降りた。
が、後ろ姿を見ると・・・
手にしているのは小さなポーチだけで新聞は1紙もない。
次の駅が近づいて立ち上がって・・・
さっきまで人気司会者が座っていた席を見下ろすと
そこには10紙くらいの新聞の束がキチンとそろえて置き去りにされていた。
おろらくそれは、スタジオに着くまでの間にやる、彼の日課なんだろう。
忙しい人ほど時間を無駄にしていないし・・・
有効な時間のつかい方を知っているモンだ・・・と思った。
本当に忙しいのであれば、無駄にしている時間は絶対にないはずだ。
ところが「忙しい、忙しい」という人に限ってボーッとしてる時間が長かったりする。
それは「忙しい」んじゃなくて「忙しくしていしまっている」だけ。
あるいは「忙しぶって」自分の居場所を主張しているだけのことで・・・
生産性とはかけ離れた次元の話だ。
そういえば以前、タクシーの運ちゃんに・・・某有名歌手を乗せた時の話を聞いたことがある。
「運転手さん、ご迷惑ですが、ちょっと練習させてもらっていいですか?」
そう言って、その歌手は後ろで歌い出したという。
運ちゃんは、ひとりでそれを聴けたワケで・・・料金をもらうのが悪いような気さえしたと言う。
「のんびりしたいな〜」とか「たまには、のんびりすることも大事」という気持ちはわかるけど・・・
そう、つぶやく時って、たいていボーッと煙草のケムリなんか眺めて・・・
端から見ると「のんびり」してる時なんだよね。
そういうワケで・・・有名テレビ司会者を「さすが」と思った私だが
この新聞紙をちゃんとホームのゴミ箱まで持っていけば、ますます「さすが」と思えたことだろう。
「ゴミ問題はひとり一人の意識が大切なんです。ね? 奥さん!」
とは言ってはなかった? か・・・別に。