日本は資源のない国だ・・・と、よく言われる。
しかし、この資源のない敗戦国が、急激に豊かな経済力を誇る国になったのも、まぎれもない事実。
かつて日本が貧しい時代には、多くの若者たちが豊かさへの憧れを胸に海外へ渡っていった。
今日の主人公、太一郎もそんな若者のひとり。
彼は、ある洋菓子の工場で働いていた。
当時は、まだ奴隷制度の名残が色濃く残っている時代。
彼も奴隷同然の扱いを受けていたが、まだ日本にはない洋菓子の技術を会得して、日本で洋菓子づくりをするのが夢だった彼は、どんなにつらい仕事にも負けずに懸命になって働いた。
やがては彼の使用者も彼の努力を認めてくれるようになったが、むしろそれからが彼にとってはつらい毎日が始まりとなった。
彼がここで働くようになるまでは、のんびりと言われた仕事だけをしていた工員たちが、真面目に働く彼が来たおかげでサボることができくなり、彼をイジメ出したのだ。
つらい仕打ちを受ける中、彼が心の頼りにしたのはキリスト教。
こうしてクリスチャンとなった彼は、洋菓子の技術を日本に持ち帰って商売をはじめることになる。
はじめて発売した洋菓子の箱には、彼の心を支えた天使のイラストを描いた。
彼の名は、森永太一郎。
エンゼル・マークをつけたキャラメルは、こうして誕生した。
日本人ほど勤勉な国民はいない・・・とも言われる。
少なくとも、かつてペリー提督もマッカーサー元帥もチャップリンもカーネル・サンダースもディズニー社長のF・G・ウェルズも、そう言った。
実は、この勤勉さこそが日本の資源ではないだろうか?
勤勉であることは決してつらいことではない。
やりたいこと、やるべきことをやり通すことが勤勉であり、心の健康のためには一番良いとさえ言える。
少なくとも勤勉さなくして、自分の夢を実現させた人は・・・いない。