Episode No.727(20001225):地獄を生きた天使
メリー・クリスマス!
・・・と言えば後ろに「Mr.ロレンス」と、つい言ってしまうほど映画が好きなハズの私だが・・・
今年も観なかったなぁ。
お芝居の面白さは少しだけわかってきて・・・ずい分、足を運んだ。
だから、考えてみると「忙しい」コトは劇場に行けない理由にはならないワケだ。
「ビデオでいいや」という妥協精神が映画館から足を遠ざけているのかな。
結局、ビデオになっても・・・観てないんだけどね。
やっぱり「いつでも、できる」と思っているコトは・・・いつまでたっても、できないね。
さて、キリスト教の幼稚園に通った経験はあるものの・・・
別に洗礼を受けたワケでもない私は・・・
クリスマスに「キリスト様」とは、どうしても思えないんだけど・・・
かわりに「ああ、チャップリン・・・」と思う。
今日、12月25日は、喜劇王チャールズ・チャップリンの命日だ。
クリスマスの朝、家族が起こしに行くと老衰で亡くなっていたなんて・・・最高の死に方だよね。
享年88歳・・・プレスリーが亡くなったのと同じ1977年だったから、23年前の話になる。
チャップリンの生涯については・・・
ブ厚い自伝やら、映画もあるから、知っている人も多いだろう。
貧乏な舞台役者の子、腹違いの兄、母親の発狂、4度の結婚・・・
自ら「地獄のような人生だった」と語る壮絶な生涯を生きながら、世界中の人たちを笑わせた。
チャップリンが、まだ4つか5つくらいの頃・・・
病気の母親と2人で薄い毛布にくるまっていると、オモテから救世軍の鈴の音が聞こえたきた。
クリスマスで賑わう街並み。
小雪が降る中、貧しい人たちに向けてスープの配給を知らせる鈴の音だ。
母親にせかされれ・・・チャーリーは、どうにか穴のあいていない鍋を見つけて、オモテへ出ようとした。
ところが子供用の靴がない・・・最初から、そんなモノはなかった。
冷たい雪の中を裸足で出かけて行くワケにもいかない。
でも急がないとスープがなくなってしまうかも知れない。
そこで、チャーリーはダブダブな母親の靴をひっかれてオモテへ出た。
歩けば歩くほど、靴の中に雪が入ってきて・・・結局、小さな足は冷たくなった。
後年、世界中に知られるようになった放浪紳士の、あの大きなドタ靴は・・・
こんな悲しいエピソードの中から生まれた。
地獄を生きて悪魔になるのは簡単だ。
でも、天使にだって・・・なれるんだ。
そりゃ、チャップリンほどの人だから・・・そんな状況でも、と思わないコトもないけど
チャップリンほどの地獄は・・・生きていないでしょ?