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Episode No.058:文化は経済を救えるか?!

3兆3000億円の経済効果!!

残念ながら平成不況真っただ中の朗報ではない。

1970年(昭和45)3月14日から9月13日までの半年間、大阪で開催された文化の祭典"世界万国博覧会"の話である。

そもそも"万国博覧会"なるものが始まったのは、今から147年前。1851年、イギリスでのこと。
1889年には第2回万国博覧会がパリで開催され、その記念としてエッフェル塔が建設された。

西洋の進んだ技術を目の当たりにした日本人は、やがて日本の国力も広く海外に示そうと"万博"誘致に乗り出すが、1907年(明治40)の最初の誘致活動では、まったく相手にされず、1940年(昭和15)には日本開催が決定したものの、結局、戦争で流れてしまった。

大阪で開かれた"EXPO'70"は、まさに日本にとって3度目の正直。

残念ながら私自身は、この時、見学に行ってはいないが、大阪の"万博"といえば印象に強いのは、やはり岡本太郎作の『太陽の塔』。参加77ヶ国を集めたこの"万博"で最も人気が高かったのは『月の石』だったというが、その何年か後に、私は東京の豊島園でこの『月の石』が展示されているのを見た記憶がある。

今の時代にも、これくらい国民の注目を集めて経済効果を上げるプロジェクトがあれば・・・と、思う人は政治家ばかりではないだろう。

しかし、ある本で読んだ言葉にこんなのがあった。

「成功者は、同じ方法で成功しようとした時、失敗する」

"世界都市博"をみごとに中止して東京都知事になった青島さんにも、どうすれば失敗するのかはわかっても、どうすれば成功するのかは、まだつかめていないようだ。

以前、大阪に出張した時に、記念として残された『太陽の塔』は遠目に眺めたことはあるが、大阪万博が残したモノには、毎日のように世話になっている。

"EXPO'70"の会場において世界で初めて発売された"缶コーヒー"である。


参考文献:「日録20世紀 1970」講談社=刊 ほか

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