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Episode No.662(20001010):予定通りじゃ・・・進歩がない

今、エジソン関係の本を読み直してる。
本当に・・・勇気がでるよ。

で、昨日もチラッとエジソンの話を出したワケなんだけれど・・・
さすが発明王といわれるだけあって・・・エジソンの交友関係は広い。

自動車王ヘンリー・フォードは、エジソンより16歳年下。
自動車の研究を進めていたフォードは・・・
点火装置の技術を得るためにデトロイトにあったエジソンの照明会社で技術主任として働いていた。

フォードの研究に技術的先見性を認めたエジソンは、以来、フォードをずい分と可愛がった。
プライベートな付き合いをはじめたのはエジソン51歳、フォード35歳の時である。
「自分にとってヒーローだったエジソンが生涯の友になった」・・・とはフォードの言葉。

エンジニアでありながら自然界への関心が高かったフォードは・・・
今世紀初頭のアメリカで最も著名な自然学者ジョン・バローズに傾倒していた。

フォードが自ら開発したT型フォードをバローズに進呈すると・・・
バローズはお礼に自分の農場から庭石を贈り・・・
フォードは、その石を使って自分の工場の敷地内に野鳥のための池を作った。
工場の騒音に疲れたフォードは、時折その場所に行っては、野鳥の声に慰められたという。

このフォードとバローズの交友がきっかけとなって・・・
エジソンとタイヤ産業の雄、ハービー・ファイヤストンの4人は毎年、家族連れでキャンプを楽しんだ。

キャンプとはいっても・・・これだけのメンバーが集まると簡単なモノではない。
多くの車を連ね、それぞれお抱えの料理人を連れての・・・大名行列。
テントにはもちろん電灯がともり、白いテーブルクロスのうえで正式なディナーが行われていた。

エジソンだけでも当時は、まだ珍しかった車を9台持っていたが・・・
うち2台は電気自動車だったという。

第一次大戦時には一時中断したものの・・・こうしたキャンプは毎年行われていた。
回を重ねるごとに、グループでは、メンバーそれぞれのポジショニングが決まってくる。

最も若かったファイヤストンは、キャンプに持っていく備品の調達係。
フォードは、いつも真っ先に車を飛び降りて、水浴びできる川を探し、キャンプ地を設定・・・
近くにある木を切ってキャンプ・ファイヤーの準備をした。
バローズは名誉ゲストという役回りだったが・・・そこにある自然物の解説をした。

エジソンの役目はナビゲーター。
キャンプ旅行先のプランを練るのを得意とした。

しかし、エジソンの練る計画は・・・必ずといっていいほど最終段階で工程が変更される。
パイオニア精神豊かなエジソンとしては・・・地図に載っている道を進むだけでは面白くなかった。
そこで、途中からどんどん地図にない道を進むコトになる。

つねに先頭を走ったエジソンの車は、道に迷うと、そこにいた農民や子供をつかまえて情報を得・・・
ついでに新鮮な肉や野菜も得た。
「ミスター蓄音機」としてエジソンの顔は誰もが知っていた。
エジソンは、そういわれると喜んでチョコレートなどを配りまくったらしい。

いつもどうなるかわからない・・・そんな楽しみがあったからこそ、このキャンプは毎年続いた。
行き当たりばったりでは困るけれど・・・予定通りでは、楽しさは半減したコトだろう。


参考資料:「快人エジソン」浜田和幸=著 日本経済新聞社=刊