Episode No.585(20000712):マニュアル通りじゃ儲からない 最近、食中毒騒ぎが多いね。 工場の生産技術は、昔から比べると格段に向上しているはずなのに・・・。 マシンやマニュアルに頼りすぎているのかな? マニュアルといえば、食品工場の話にからんで「HACCP」という文字を目にする機会が増えた。 「HACCP」・・・ハサップと読む人が多いけど、いったい何だか知ってる? Hazard Analysis Critical Control Pointの略で、直訳すると「危害分析・重要管理点監視」となる。 食品工場の衛生安全管理の基準で・・・もともとはNASAが宇宙食を製造する際に使った基準らしい。 現在では食品業界の国際基準となり、日本でも厚生省の指導のもと1998年から分野別に導入が開始された。 食品分野としては、乳・乳製品、食肉製品を皮切りに、缶詰・レトルト食品、魚肉練り製品工場など・・・。 最終的には全食品工場が承認対象となるコトは間違いなく、業界では生き残りをかけてHACCP対応が進められているようだ。 HACCPは、いわば自主的な規制・・・承認されないからといって工場が営業できないワケではない。 じゃあ、どうして「生き残りをかけて」まで基準を満たそうとするのかといえば・・・。 安全性の確保はもとより・・・HACCPの承認を受けていないとスーパーやコンビニ、デパートなど、大手の流通に商品が流せなくなってしまうのだ。 メーカーにとっては保健所や厚生省も怖いけど、流通はもっと怖い・・・というワケ。 まぁ理由はどうあれ、こうして安全性が確保されるのは消費者にとっては結構なコトだが・・・。 HACCP導入のために工場を整備したり、マニュアルを整備したり・・・。 かかった費用は当然、商品の価格にはねかえってくるんだろうね。 安全を買ったと思えば、それも仕方ないけれど・・・。 工場に限らず、食品を扱うレストランやファーストフードなどでも、衛生は最も配慮さなければいけない点。 案外、雑菌の繁殖が目立つのが、布製のタオルやフキンだったりする。 一度、拭いた後に、また次の場所を拭いて、雑菌を広げる結果となってしまったり・・・。 厨房やトイレで布のタオルが使い回しされているようなところは、もう以前の問題だ。 ハンドドライヤーは一見、清潔そうに見えるけど・・・。 はね飛んだ水分がまわりに溜まって・・・しかも温かいので雑菌の巣になってる場合も少なくない。 実際、最も衛生的だと言われているのがペーパータオルだ。 しかし、このペーパータオル・・・最初から衛生環境を保つという目的で作られたモノではない。 ペーパータオル第1号が誕生したのは、今から93年も昔の1907年。 ところはアメリカ・・・製造したのは「スコッティ」で知られるスコット兄弟の製紙会社だ。 1880年代からトイレットペーパーで大儲けをしたスコット兄弟は、当時も工場でフル生産を行っていた。 ある日、ちょっとしたミスでトイレットペーパーになるはずのロールが太く出来上がってしまった。 それを見た商売上手のスコット兄弟は・・・。 その不良品にミシン目を入れてペーパータオルとして発売を開始したというワケ。 そのスコットも今では「クリネックス」のキンバリー・クラーク社に吸収合併され・・・。 日本でも「クリネックス」と「スコッティ」を製造してるメーカーは同じだって・・・知ってた?
参考資料:「はじまりコレクションII」チャールズ・パナティ=著 バベル・インターナショナル=訳 フォー・ユー=刊
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