Episode No.1442(20030408)
時間

昨日、2003年4月7日は
ついに『鉄腕アトム』の誕生日が来た!
と、いうんで各地でずい分盛り上がっていたみたい。

街では号外まで出たとか。
予定されていた号外っていうのも
何だかヘンな感じもするけど。

もちろん『アトム』を見て育った世代の私も
不思議と無性にワクワクしちゃう。

そういう世代の人たちが
今は社会の最前線に立つようになっているから
きっとアトム関連の企画も通りやすいんじゃないかな。

もしも世の中に
本当に「仕方のないこと」があるとしたら
生まれることと、死ぬことの・・・
この2つだけじゃないかな?

無論、時が経つ・・・
ということも止められないんだけど
いろいろと便利な道具がつくられて
時間の感覚は昔と今とじゃ大違い。

おかげで広島、高松への出張だって日帰りだ。

目まぐるしい時の流れは
人々の心を忙殺し、残酷に思えることもあるけれど
逆に・・・
時が解決してくれる問題というのもたくさんある。

つまり、時の流れというのは「仕方ない」だけじゃない。

今から16年前の1987年に収録された
手塚治虫のインタビューに、こんな言葉がある。

「ぼくたちマンガ家の仕事が認められはじめたのは、
 たかだか15、16年前です。
 それも受動的な評価でして、つまり、
 昔マンガを読んでいた子どもたちが大きくなって
 大人の層も読むようになったという、
 時間というものの助けがあるんですよ」

そして、アトムの誕生日が来た時には
・・・世の中は、こうなっていたんだ。

漫画の神様とまで呼ばれた天才・手塚治虫だけど、
キリストだってそうだったように、
・・・神様が歩んでいたのは、実はイバラの道だ。

インタビューの最期に神様は、こう語っている。

「雑草のようにふみつけながら
 ここまできたという感じです」


参考資料:「手塚治虫とっておきの話」新日本出版社=刊