Episode No.992(20011030):他人を満足させるアイデア
「ずっと昔から考えていた気もするし・・・
いま急に思い立った気もする」
自分のやりたいこと・・・
ことに映画の企画について、北野武監督は、こう語る。
つい先日も北野作品『菊次郎の夏』にふれたばかりだけど・・・
考えてみると、もうずいぶんあるよねぇ・・・北野監督作品。
深作欣二のピンチヒッターとして処女作『その男、凶暴につき』を手がけた頃は・・・
誰も今のようになるとは思っていなかったんじゃない?
本人をのぞいては・・・!
どんな思いつきでも、結果的にカタチとなって人目にふれれば・・・
それは企画として一応成り立ったことになる。
後から、とってつけたように「構想○年」と言っても
出来がよければ「さすが」と、うなずかせることもできるかも知れない。
企画と単なる思いつきの違いは・・・ハタ目にはカタチになったかならないか。
実際には、企画書の体裁は整っていても
カタチにならないモノはたくさんあるが・・・
稀に企画書の体裁がなくてもカタチになるモノもある。
いきなり作ってしまえば・・・一応はカタチになるんだからね。
誰かに作ってもらおうとか・・・
誰かに金を出してもらわないと作れないモノは絶対できないけれど。
大勢の人に動いてもらわないとできない本格的なモノだとしたら
まずスポンサーやスタッフを納得させるだけの企画がないと動かない。
逆を言えば・・・
企画とは大勢の人を動かせる力のあるモノでなければならない。
同じように企画書の体裁は整っていても・・・
自分が、こうやりたい・・・というだけでは企画は通らない。
それを言い出した人が世間の注目を集められるだけの人気者なら別だけど。
自分が本気でやりたいという思いは
モノを作り出ために必要不可欠ではあるけれど・・・
自分にとって価値ある内容が、まわりのみんなにとっても価値あるものかどうか?
企画書を提出するという行為は・・・平たく言えば"売り込み"だ。
自分にとってではなく、相手にとってのメリットが書かれていなければ通らない。
今、こういう問題がある・・・
このアイデアを実践すると、こういうメリットが得られる。
それヌキには語れないのが企画なんじゃないかな。
自分が一生懸命考えたから見てください・・・っていうんじゃ
子供のピアノの発表会と変わらないでしょ?
ずっと昔から考えていたことを・・・
世間のタイミングを見計らって、さっと出す。
まるで、いま急に思い立った新しいモノのように・・・!
どちらかが欠けても・・・大勢の人に受け入れてもらうことは困難。
昔から、ずーっと好きだった女の子に
ただ、つきまとってるだけじゃ・・・変態扱いされちゃうもんな。
企画を通すために自分を曲げるのはイヤだ・・・という程度の企画は仕事にはならないだろう。
自分のアイデアをもっと大きくするために・・・大勢を取り込めないとね。