Episode No.4028(20110721)[日記]Diary

横浜ホンキー・トンク・ブルース
Forever Yoshio Harada.

嗚呼…
ついこの間、ピーター・フォークが逝ってしまって、
その淋しさがまだ抜けきらないというのに
…俳優の原田芳雄さんが亡くなった。享年71歳。

最新主演映画の舞台挨拶に車椅子で臨んだ、
わずか8日後のことだった。

残念だ…実に。

私は言うほど熱心なファンでもなかったけれど。
かなり、好きだった。

今いる日本の俳優で誰が好きかと訪ねられたら、
間違いなく「原田芳雄」と答えたろう。

あの伝説の松田優作だって、原田芳雄を兄と慕っていたんだぜ。

カラオケに言って…歌本を開くと、
松田優作というコーナーがあって、そこには、たいてい唯一曲
「横浜ホンキー・トンク・ブルース」が載ってる。

いつの間にか、松田優作の持ち歌になっているけれど…
原田芳雄じゃなかったか、この歌?

竹中直人がお笑い芸人時代に真似して歌っていたのも
…原田芳雄バージョンだったよね。

何がそんなにいいって…シブいだろ?

シブいって言葉は、原田芳雄を通じて覚えたよ。

たった一度だけだけど…目の前に原田芳雄を見たことがある。
高校の頃の話だから、もう30年以上も前。

映画に行った。有楽シネマに。ATGの封切り。
主演と監督の舞台挨拶があるというんで学校をサボって独りで行った。

原田美枝子プロデュース&主演
「ミスター・ミセス・ミス・ロンリー(1980)」。

神代辰巳監督に会いたくて行ったんだ。
ちゃんとパンフレットに監督のサインをもらったきたよ。

客の入りは決して万歳できるものじゃなかったけれど、
それだけに集まったファンへのもてなしは最高。
そもそも狭い映画館だったから、目の前に憧れの人たちがいた。

主演の原田美枝子さんが挨拶に立つ。
挨拶の後に「今日は私のお兄ちゃんも駆けつけてくれました」と言った。
そこで登場したのが…同じ名字の原田芳雄さんだった。

私はただの一ファン。業界の人間でも何でもない。
洋画より、ほんの少し邦画の邦画好きな映画ファンだ。

そんな私にも…
あの時のいかにも兄貴っぽい芳雄さんの立ち振る舞いは
脳裏に焼き付いているし、
後に読んだ松田優作さんとのさまざまなエピソードも充分うなづけてしまう。

少し前に、NHKドラマで白州次郎の伝記をやっていた。
当然、登場する吉田茂。その吉田首相の役を原田芳雄さんが演っていた。

その前後に、気むずかしい作家の役を、
やっぱり原田芳雄さんが演っていた(火の魚)。

どちらの役も、ひと昔ふた昔前なら…森繁久彌が演じていた役だろうと思う。
森繁亡き後を埋めていたのは、意外にも原田芳雄さんだっと痛烈に感じた。

先日の舞台挨拶で、やせ細った芳雄さんの動画は見てない。

ワイドショーでそれを見たカミさんに「ショックだった」と聞き、
後でネットのニュースを恐る恐る見た程度だ。

写真だけ見ても…
芳雄さんの無念さがひしひしと伝わってくる感じがした。
みんなの兄貴だった人が、みんなを守るのではなく守られている。
…悔しかったろうな。

だけど…
主演映画の公開中に逝くなんて…役者冥利に尽きることなのかもな。

今頃、松田優作に迎え入れられて、バーボンでも傾けているに違いない。
生意気なこと書いて申し訳ないです。

…合掌。

Copyright 1998-2011 digitake.com. All Rights Reserved.


人生日々更新 -Main-