Episode No.3760(20100911)
思い出話シリーズ
私の恋愛記-digitake.com きわめて個人的な思い出話シリーズの第三弾は恥ずかしながらの「恋愛記」。

このところ、こういうシリーズを書こうと思い立つのは、漠然と引きずってきていた思い出を一度できる限り吐き出して、新しい歴史づくりの準備をしようとしているのかもしれないな。

立場的に新しい恋愛をしてしまうのは問題だけれども、ね。


06 春10年

これまで出逢った女子の想い出を書いてみようと思い立ち、いろいろ記憶を探りながらここまで書いてきたけれど、異性として付き合うことの面倒くささが先立ってしまったり、ほかのことが楽しかったりで結局自分は女性に対してそれほどの思い入れがないことに気づく。人間同士の交流は数多くあったけど、ね。

本音はモテモテ男より、寅さんになりたいと思うくらいだし、その方が自分にとっては気が楽なんだよ。

そんな私が大学2年くらいになった時、新しい映画を作るために友だちの紹介で出逢ったのが、同じ高校の1年後輩で当時、女子短大に入学したばかりの…うちのカミさんだ。

もう、ここでカミさんが登場してしまう。
実に狭くて深い恋愛体験だと自分でも感心するやら、呆れるやら…。

私は20歳くらいで彼女は19歳だった。

私が脚本監督をする自主映画のスタッフとして参加してきて、主演映画まで撮ろうとしたこともあったが、結局のところ彼女が参加してきてからというもの、まともに作った映画は1本もない。…後にできたのは家庭だけ。

当初はミーティングという名のデートばかりしていた。

驚いたのは当時、横浜から2時間も3時間もかかる私が住んでいた地方の町に、彼女は毎週のように遊びにきていたことだ。
それをまた横浜まで送り届けていたのだから、時間だけはあったんだなぁ。今は時間も金もないけどさ。

以来、ちょうど10年間付き合って結婚することになる。

それだけ長い間付き合っていると自然に結婚したようでいて実際はそうでもない。いざ結婚となると迷いも生じた時期もある。

結婚を決める前の数ヶ月は会わないどころか、連絡ひとつとらない時期もあって、そろそろ結婚をしはじめた親しい友人たちや両親にまでずいぶんと心配をかけた。10年も付き合ってると、むしろ周囲の方が結婚するのは当然の流れと思っているし、いつも2人でいるのが自然なことのように感じるようになっていたのだろう。

お互いの気持ちもさることながら、ただ付き合うのと違って、結婚生活は2人だけで成り立つわけではない。両親、親戚、自分たちをとりまく環境条件がうまくかみ合わなければならない。愛があれば…などという言葉だけでは成り立たないのが現実。こと両親に愛されて育った末っ子の彼女は、親の愛を無視することはできなかったろうし、愛されて育ったが故、親元を離れることへの不安もことさら大きかったと思う。。

一時はそこでフリダシに返るかと思ったが、紆余曲折を経て2人一緒に前に進むことになった。

彼女の出した結論は…
私と一緒なら二人でラーメン屋の屋台を引くようなことになっても楽しそう、だった。
そして、私の結論は…こいつの嫌なところなら我慢できる、だ。

ゲーテ曰く「愛人の欠点を美徳と思わないほどの者は愛しているとはいえない」。
…そして恋だけの時代は終わりを告げた。

そういえば今月は結婚記念日が来るじゃないか!
ここ数年、子育てに追われてお互いすっかり忘れいる。

何年経ったんだ?
結婚3年目に産まれた長男が今年17だから…20年? いや、まだ19年?…わからん。

に、しても10年付き合って、結婚して20年近く経つんだから、50前にしてすでに人生の5分の3を一緒に過ごしているんだな。…よく飽きないな、お互い。最も飽きてる暇もなく生活に追われているんだけれども…それも幸せは証拠か。

さて、こうして、これまで出逢った女子たち(いや、男子を含めてかもしれないが)のことを想い出してみると、インパクトがあったのは、みな自分の想定外の連中だったことに気づく。

理想の相手は自分の理想や想像を越える相手
なんだな、やっぱり。

長男に彼女ができる年になって、親父がこんな告白をしてみせるのも…一興だろう?!(笑)

【この項・おわり】

このシリーズのバックナンバー
 05 恋愛よりも男の友情?
 04 初めての彼女と厄介な女たち
 03 ひと夏の恋
 02 恋に恋する頃
 01 初恋の頃


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