Episode No.3755(20100906):
思い出話シリーズ
01 初恋の頃 40代後半になる今でも覚えている最古の女友達は小学校1年の頃、隣の席だったマキちゃん。ちょっと小太りだったが、優しい女の子だった。 その優しさが心地よくて、わざと消しゴムを忘れて行っては毎日消しゴムを借りていた記憶がある。小学生男子にはよくある話? 体型に合ったおっとりした感じの、まるで肝っ玉母さんみたいな娘で、いつも「しょうがないわね」と言って消しゴムを貸してくれた。 家には2歳年下の妹がいたから、同年代の女子と話すことには何の抵抗もなかったが、一緒にエサを突き合う仲とは違い、少し距離を置いて女性を見たのは、このマキちゃんが初めてだったように思う。 まだ初恋というには幼すぎるが、5〜6歳にして確実に意識は目覚め始めていた。 小学校2年になるとカネコという女の子と遠足などで、よく手をつながされた。背の順だったからね。私もカネコも前から1、2番で小さかったんだ。 カネコはマキちゃんとは違い、少しやかましいくらいの子猫みたいな娘だった。 カネコにウチへ遊びに来てほしくて、いろいろ理由をつけて誘ってはみたが、とうとう来ることはなかったと思う。来たら来たで、どうやって遊んでいいのかもわからなっただろうけど。 小学校低学年のこの頃は、たまたま近くにいた女子が、とにかく気になっていたんだな。 クラスは違ったが、近所に住んでいたサエコという体の大きい姉御タイプの娘もいた。 もうひとり近所に体の小さな同級生の女の子がいて、その娘は何故か私を「好きだ」と言っていつも追いかけてきた。学校でいじめられても私に言いつけると怒鳴っていた。言いつけられても困るけど…。 高学年になると、校内に知り合いも増えるし、クラブ活動も活発になり、クラスの枠にとらわれない付き合いもできてくる。 この頃の記憶に残るのがモリタと、その親友のタカハシ。 ツクダはちょっと大人っぽい娘だった。ちょっと憂いのある整った顔つきをしていた。きっと美人になったに違いない。最も私と同じ年だからピークは過ぎてしまったかと思うけど…。 ほかにも、わりと可愛い娘はいたな…。南沙織みたいな娘とか。その娘の家の裏が公園だったので、今でもその娘の家は覚えている。 モリタは目の大きな痩せた娘で決して可愛いグルーブではなかった。ご多分に漏れずデメキンと仇名されていたが、泣くどころか、笑いながら男子をひっばたくような娘だった。 しかし今にして思えば、初めて女子に友情を感じたのは、このモリタだったな。何でも気兼ねなく相談できたし。 モリタの親友のタカハシは、あるいは私の初恋の相手だったかもしれない。 恋に恋していたのも事実で、その相手として自分に一番合っているような感じがしていた。 もう40年も昔の話になるが、当時も東京の小学生はかなりマセていて、5、6年になると、もう誰かと誰かが付き合ってる…といった話がよくあった。そんな周囲の雰囲気に乗り遅れてはいけないという気負いもあったろう。 結局、タカハシと付き合うことはなかったけど(仮に付き合ったとしても小学生同士が何をするわけでもないのだが)、むこうも好意を寄せられていることに対しては悪い気はしていなかったらしく、何となくつかず離れずという感じだった。 記憶にあるのは球技大会か何かで男女混合でサッカーをしていて、私がキーパーをしていると、タカハシは、どういうわけか守りのチームメイトを前に上げさせて、ずっと私のすぐ前にいた。で、時々振り返ってニコリとするんだ。 こういう原体験が、自分に娘が生まれた時にふっと蘇って… 男は鍛えないと男になれないが、 …という哲学を感じるようになる。 小学校の卒業と同時に私は東京から横浜に引っ越しをした。 タカハシ…うちのカミさんは偶然にもおまえさんと同じ名前だよ。 このほかの思い出話シリーズ ■30年目の夏─「白い蹉跌」のこと ■実録トラブル体験談〜巨大組織との仁義なき戦い Copyright 1998-2010 digitake.com. All Rights Reserved. |