Episode No.3485(20091027)
博物館に住みたい?

松下幸之助と同じく、
関西の実業家である小林一三は、
私が最も尊敬する経営者だ。

小さな体で、もとはグータラ銀行員。
その銀行員にも、
別になりたくてなったわけではなく、
友だちに誘われて受けただけ。
小説家をめざしていたから、
サラリーマンとしての出世など眼中になかった

それが、さまざまな人との関わりの中…
阪急電鉄の前身の会社でらつ腕をふるうことになる。

小説を書くように
商売の世界でアイデアをふくらませ
好きなエンターテイメントの世界においても
宝塚歌劇団を作るなどの功績を遺した。

小林一三は…
1873年(明治6年)1月3日生まれ。
※名前の一三は、この誕生日に由来する。

松下幸之助は…
1894年(明治27年)11月27日生まれ。
…だから一三の方が21歳も年上だ。

その小林一三が、
兵庫県西宮に家を建てた松下幸之助を
訪ねたことがあるという。

幸之助の新居は敷地300坪。
当初予算の3倍の60万円と、
2年の歳月をかけて完成した純和風の豪邸。
1937年(昭和12年)に完成しているので…
昭和16年当時の貨幣価値は今の2,500分の1だったから、
今なら60万×2,500=15億円以上???

この時…
小林一三、64歳。
松下幸之助は、なんとまだ43歳の頃。

幸之助の豪邸を見渡した一三は開口一番
「えらいもの建てよったな。
 うちはここの3分の1くらいだが、
 それでも大変や。松下君、苦労するで」
…と言ったらしい。

幸之助は何のことだがわからなかったが、
しばらくすると、すぐにわかった。

部屋の掃除など維持管理に、
べらぼうな金がかかるのだ。

それでも…
「この家は300年後に
 今の建築技術を伝えるためのものだから仕方ない」
…と腹をくくったという。

博物館などは、
よく元は貴族の家だったとか聞くけど、
最初から博物館にするつもりで住むなんて!

そんな覚悟や使命感もあってか…
松下幸之助は独立して38年後、
60歳を迎える頃には日本一の金持ちになった。

参考「エピソードで読む松下幸之助 」PHP新書=刊


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