20091025
でじたけ流 教育論

第482回

親父の自由研究-digitake.com


テレビのコマーシャルを見ていて、
ふと不思議に思ったことがある。

ランドセル…って、いつから使われてるんだろう?

私の両親の時代にはなかったはずだし、
そもそもランドセルって何語だよ?

…で調べてみた。
調べるって言ったって、
今やネットを叩けば答えはすぐに検索できる。
一家に一台、図書館があるようなもの。
いくら身近に図書館があったって、
使う動機がないと宝の持ち腐れだけど、ね。

ランドセルの語源はオランダ語。
軍隊用の背のうを「ランセル」と言ったのが
後の「ランドセル」になったそうだ。

考えてみると学生が使っているものには、
もともと軍隊で使われていたものが少なくないね。
学生服だって元は軍服。
セーラー服は、その名の通り水兵だ。

大勢の人間を統率するというノウハウ
軍隊にあっから、そのまま学校にも応用されたんだろう。

その軍隊のノウハウが確立されてきたのは幕末にさかのぼる。
欧米列強に対抗するため、西洋式の軍隊制度が導入されたのだ。

その時に両手が自由になる
布製の背のう=ランセルも使われるようになった。
今で言えばリュックサックのようなものらしい。

明治時代に入って学習院が開校されると、
裕福な家庭の子供たちが学ぶようになった。

これはこの間テレビで見た話だが…
その頃、学校に通う良家の子供たちは
馬車や人力車で送り迎えをされていて、
クラスメイトはおろか、
教師をも家柄によって小馬鹿にする生徒が少なくなかった。

そこで、学習院では
馬車や人力車による送り迎えを禁止し、
かわりに軍で使われていたランセルに学用品を入れて
通学させることにした。

ランセルが現在の革製のランドセルになったのは、
後の大正天皇が学習院に入学する際、
時の総理大臣・伊藤博文がお祝いとして
特注で作られたものが元祖。
それをみんなが真似して
現在のランドセルが出来上がったようだ。

しかし、伊藤博文という人は
日本初といわれることで歴史に名を刻んでいる人だな。
周知の通り、日本初の総理大臣だし…
アレを日本で初めてやった人、とも言われているし。

革製のランドセルが広く一般に広がるには、まだ少し時間がかかった。

革製のランドセルを使っていたのは都会の子供だけで、
地方の子供たちはあいかわらず風呂敷を使っていた。

昭和16(1941)年頃のランドセルの値段は1個9円80銭。

これは決して極端に高価なものではなかったようで、
さらに調べてみると…
少し時代は違うが昭和20年当時の銀行員大卒初任給は80円。
現在の銀行員大卒初任給は20万円くらいなので、
ここから換算してみると2,500倍くらいだから
1個10円だっと考えても2万5,000円で現在とあまり変わらない。

基本的な使い方は昔も今も変わらないので、
形もほとんど変わっていないから、コストの違いも少ないのだろう。

最近のランドセルは軽量化とかいろいろと新機能があるようだけど、
実際には昔のランドセルの方がシンプルで軽かった。
皮も現在は牛だが、かつては豚が主流だったらしく…
中にはサメやアザラシの皮を使ったものもあったとか。
今サメ皮で作ったら…結構カッコいいかも、ね。

地方の子供たちが風呂敷を使っていたのは、
都会に比べて一世帯あたりの子供の数も多かったせいも考えられる。
ランドセルの値段がいかな高くはないとはいえ、
数を買わなきゃならないとなれば…やっぱり経済的な負担は大きい。

都会の人たちは、田舎に比べれば収入も多かったろうし、子供も少なかった。
また、田舎の人に比べたら、やっぱり見栄をはっていたせいか、な?

ようやくランドセルが全国に行き渡るようになったのは、
昭和30(1955)年代…高度成長期に入ってから。

戦前、一世帯平均の子供の数は5人以上だったが、
この昭和30(1955)年代から少子化がはじまったとされ、
一世帯平均の子供の数3人を下回った。

子供の数が減ったが故に、
1人の子供にかけられる金が増え、
誰もがランドセルを手に入れるようになった…。

子供にとって、自分意一人が贅沢できるということと、
大勢の兄弟に囲まれて生活することと…いったいどちらが幸せなのか。
ランドセルの歴史を通して、いろいろ考えさせられてしまったな。

さて、こうして新しいことを知ると…人に話してみたくなる。

うちの子供たちにとっても
ランドセルは身近な物だから、きっと興味を持って聞くだろう。

話ながら、どうやって調べたのかということにも話は及ぶ。

そうして、自分が持った疑問の解決方法を
実際の体験を通じて話してやることが出来れば、
闇雲に「勉強しろ」なんていうより、
よほど説得力はあるし、学ぶことの楽しさも伝えられると思う。

まず親自身が「勉強を楽しんでみろ」だな。
楽しそうにやってりゃあ、嫌でも真似をするよ。


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