Episode No.2787(20070727)
青錆の味わい

例によって深夜NHKを見る。

「デザインウォーズ」という
NHKスペシャルの再放送をやっていた。

携帯電話メーカー各社が、
いかにして顧客を獲得しようとしているか。

まるで洋服のように・・・
春モデルだの、秋モデルだの、
携帯電話が
高機能であることは、もう当たり前で
デザインで選ばれる時代に入っている。

このところ・・・
携帯デジタルプレイヤーでは、
あいかわらずiPodに遅れをとり、
ゲームは任天堂に独走され、
液晶テレビはシャープがイメージアップし、
おまけにOEM供給していた電池は火を噴く
・・・なんて有様で
ひと頃の強さが感じられなかったSONYは、
エリクソンとの合弁企業で、
携帯電話の分野においては
持ち前のデザインの良さを発揮しているらしい。

番組では、
来年のモデルの方向性を決める
コンセプト会議のようなものを取材していた。

世界中から集められたデザイナーが
積極的な意見を出し合っていた。

そこで出てきたコンセプトが
・・・パティーナ(Patina)。

初めて耳にする言葉だった。

直訳すると「青錆」。
転じて「熟練」を意味し、
デザイン・コンセプトの意味合いとしては
「経年価値の味わい」と紹介していた。

つまり・・・
使い古されたジーンズの味わいや、
歴史を感じさせる寺院などに感じられる
・・・良さ。

ピカピカであることだけが
良さではない・・・という逆転めいた発想だ。

はたして・・・
このコンセプトを元に、
どんな新しい携帯電話が誕生するのかは
来年までわからないが・・・

高齢化社会を迎えた日本において、
このパティーナなる価値観は、
さまざまな分野で注目されそうな気がした。