Episode No.1087(20020218):それは本当に新しい発想か?

自分にやらせてもらえば、
もっと新しい発想でできる・・・

と、いう意見を持つ人の話を聞いてみると
結局、どこが新しいのかサッパリわからないことが、よくある。

本人にとっては「自分がやる」ことで
充分に新しいのかも知れないが・・・
はた目で見ると、やっている人が違うだけで
やろうとしていることは根本的に同じ。

そりゃあ、やる人間が違うのだから
多少の違いはあるだろあが・・・
それは「違う」だけで新しくも何ともない。

同じ四角い箱に、
青いペンキを塗るか、赤いペンキを塗るのか
せいぜい、その程度のことだ。

「新しい」というのは
四角だった箱が、丸くなったり三角になったりすることで
上辺だけ変えても先が見えてるから
色を塗り替える程度の企画に対して
真剣に耳を貸す人は少ないだろうし・・・
十中八九、抱えている問題の解決にはならない。

松下幸之助の言葉に、こんなのがある。

「5%のコストダウンをはかるより
 30%下げる方が容易な場合がある」

そんなこと、できっこないし・・・
まして容易に行くはずはない、と思いがちだが
言葉は、こう続く。

「5%のときは、今までの延長線上で考えがちだが
 30%ともなれば、もはや発想を根本的に転換せざるを得ず
 そこからまったく新しい発想が生まれてくるからである」

これが・・・新しい発想。
今までの延長線上で楽をして考えた企画に
新しさがない、と却下されても当然だ。

付け焼き刃の発想から脱却するためには・・・
もっと幅広い知識をつけること。

ある業界では常識でも・・・
その発想を別の業界で実践すれば新しい、なんてことも
往々にしてあるものだ。


参考資料:「松下幸之助/日々のことば」PHP研究所=編