Episode No.968(20011002):天秤棒の重さ

自分でも商売をやっているので・・・
古今東西、ビジネスで成功をおさめた人間の話には人一倍興味がある。

そのさまざまな事例を紐解いていくと、
商売の鉄則は・・・
必要としている人を見つけ出し、そこに商品を売り込むことにある。

たいして必要としていない人に向かって・・・
口八丁手八丁で売り込みをかけ、仮に一度は買ってもらえたとしても
二度と注文は来ないだろう。

騙されたと思って金を出したモノには、やっぱり騙されてしまうのだ。

そこをうまく誤魔化すことが商売だと思っている人も中にはいるようだが・・・
それは詐欺に等しい。

ただ、あんまりウルサイから一度くらい付き合ってやろう
そう思われているのが関の山だ。

商売に、いや人間関係に、と言い直しても差し支えないと思うが
大切なのは信

信用を得るためには、どちらか一方が得をしたり損をしたりしていてはダメで
両方が得をできる仕組みがないと絶対に続かない。

最も金銭的な問題だけでなく・・・
何を得と思うか、何を損と思うのかは人によって違う。

だから、自分の感覚にピッタリ合った相手と組むことも重要だ。

あらかじめ売り込む相手が決まっている場合には・・・
その人が何を欲しているのかを知ることが大切。

どうすれば儲かるか、と考えるより
どうすれば役に立てるか・・・そう考えられるかどうかが、成功のカギだと思う。

儲かるなんて行ってもね・・・しょせん一時のことに過ぎない。
長く稼げなければ・・・商いにはならない。

成功のために、目先の成功を捨てる。
捨ててかかった人間は、やっぱり強い。

一般的に成功したと見られる人にとって・・・
本当は成功など、どうでもいいこと・・・に違いない。

問題は・・・いかに邪念をはらって集中するか、だな。
仕事にスピードは大切だが・・・闇雲に結果を急ぐのは、邪念だ。
それを意識的にコントロールできる人が、プロなんだろう。

「人間は信用とカネの天秤棒をかつぐ」・・・本田宗一郎

ふぅ〜っ!


参考資料:「本田宗一郎語録」本田宗一郎研究会=編 小学館文庫=刊